最高の一瞬『マラソン界への大貢献_川内優輝(マラソン)』

2011年福岡国際マラソンでの川内優輝選手です。レース後に全力を出し切って倒れ、テントに連れていかれるところでした。

彼にとってはおなじみのシーンではありますが、いつもどこか魅力的で絵になる。そんな彼の顔をどアップで撮りたいと思い、寄っていきました。ここまで近づいて撮れたのはこの時だけでした。

川内選手は、低迷していた男子マラソン界に元気と話題を提供し続けた存在です。公務員として働きながらレースに出る市民ランナーとして注目され、年間を通して数多くの大会に出場。そして、いつも限界ギリギリまで走る姿がニュースになりました。

自分をカッコよく見せるわけでもなく、歯を食いしばって走り、自分の言葉で気持ちを伝え、話題を提供してくれた。彼がいなければ、マラソンを取材するメディアがいなくてニュースにならなかったかもしれません。

世界選手権やオリンピックで活躍ができていませんが、こうして男子マラソンを世の中にアピールし続けことは、前回紹介した大迫傑選手をはじめ、今の男子マラソン界の活躍に大きく貢献しているでしょう。

これからも、見る人の記憶に残る選手であり続けるのだと思います。

▼中村博之(ナカムラ・ヒロユキ)

1977年7月10日生まれ、福岡県出身。17歳の時に近所の本屋で手に取った、サッカー三浦知良選手の写真集『KING KAZU』を見てスポーツフォトグラファーを志す。1999年2月にスポーツフォトエージェンシーの『フォート・キシモト』に入社し、2011年3月からフリーランスとして活動。

初めてのオリンピック取材は2000年シドニー夏季大会で、その後夏冬合わせて8大会を取材。また、世界陸上選手権大会や世界水泳選手権大会などの取材を続けており、世界水泳選手権では、2015年カザン大会からFINA(国際水泳連盟)のオフィシャルフォトグラーを務めている。

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