THINK SPORTS『スポーツと密接な「声」』

「中高生の部活のときに、チームに謎の掛け声があった」

というのは、大人になってから笑い話になるスポーツあるあるだが、なんでそんな声を掛けていたのかと思うと、スポーツと声の密接な関係に考えを巡らせることができる。

部活のときのあの掛け声は、いわゆるチームや自分を「盛り上げる声」の部類だろう。例えばこれが試合であれば、苦しい展開のときに「ここで頑張ろう!」「切り替えて次行こう!」とか、勝っているときには「もう1点取ろう!」など、味方や自分の心が奮い立って、体に力が出てくるようなセリフが挙げられる。

個人競技でよく見られる「よっしゃー!」という類の掛け声も、自分を盛り上げる大事な声であるはずだ。

もう一つ、声の種類で大きなジャンルと思われるのが、「指示の声」である。

ポジションの修正、マークの確認、次のプレーの具体的なアドバイスなど。自分が味方に出すケース、味方やコーチが自分に出してくれる場合があるだろう。

この指示の声でうまくプレーできた、あるいはプレーさせたという経験がある人は、たくさんいるのではないか。プレーする当人とは別の視点を持った人の考えが、指示の声を通して加わることで、よりよいプレーが可能になるのである。

こうして考えると、声は、スポーツにおいて大事な「技術」であることがわかる。

スポーツの練習、試合の現場では、よく声が出ている、出ていないで問題になることがある。しかし、声は大切な技術の一つだ。声を出す意味を考え、ときには練習も必要になるかもしれない。

声が出ない人も、声を出させたい人も、この点を考えて臨めば、声を通してのプレーのレベルアップにつながるはずである。

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