最高の一瞬『伝説の名勝負_松坂大輔(野球)』

松坂大輔選手の写真です。

甲子園の高校野球は、1990年から撮影しているのですが、これはそのなかでも、いちばんの試合。これ以上の試合はないと今でも思える、98年の横浜高校対PL学園の伝説の名勝負です。

春の選抜で横浜高校は優勝し、春夏連覇を狙ったこの大会もいちばんの優勝候補でした。ただ、この年はのちに「松坂世代」と言われたように、プロで活躍する選手もたくさん出てレベルが高く、お客さんもたくさん入ったんです。

事実上の決勝戦と言われたこの準々決勝は、延長17回までもつれた大熱戦でしたが、写真は11回表。松坂選手がヘロヘロになりながらも、本塁にヘッドスライディングで突っ込み生還。座り込んだままガッツポーズをしたシーンです。

試合後に「あれは疲れたフリですよ」と本人は強がったのですが、こんなに打たれる彼を見るのも珍しかった。それでもこの試合、彼は17回を1人で投げ切り、最終的に勝利をつかみました。

結局、横浜高校は準決勝も勝利し、決勝では松坂選手がノーヒットノーランを達成して優勝を決め、怪物ぶりを見せました。

プロ野球も撮影しますが、やはり高校野球にはプロとは違う良さがあると感じます。技術はもちろんプロのほうが上ですが、高校野球には1試合にかける熱というか、想いの強さがあうというか。撮っていても、こちらが熱くなったり、感動しますね。

▼小内慎司(こうち・しんじ)

1968年、東京都生まれ。写真学校卒業後、朝日新聞出版写真部嘱託となり、アサヒグラフ、週刊朝日の取材で71回大会から100回大会まで夏の高校野球選手権を30年連続で撮影。現在は通信社と契約し、プロ野球を中心に活動している。

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