THINK SPORTS『セカンドキャリア』

トップアスリートが現役を引退し、別のジャンルで第2の人生を歩むが、なかなかうまくいかない…。そうしたスポーツ選手のセカンドキャリアの問題が度々話題になっている。

スポーツ中心の生活を送り続け、引退して、さあ別で働くとなったときに、一般社会人としてのスキルがなくて使えないと指摘される。選手のほうも激減する収入を目の当たりにして、なかなか新しい一歩を踏み出せない。そんな構図が度々明らかにされている。

それだけに現役のときから、第2の人生の準備をする選手、それをサポートする団体も増えてきた。また、高校からプロ選手になる前に立ち止まり、「将来のために学歴は持っておきたい」と大学を経由してプロを目指す流れも顕著だ。これは今の日本のスポーツ事情を見た、保護者の意向もあるだろう。

もっと深刻なのは、プロ選手がごく少数だったり、いなかったりするマイナースポーツだ。トップレベルのプレー環境を鑑みて、高校や大学を卒業する際、トップを目指さずに就職し、そのスポーツを辞める選手が出てきている。

プレーすることでの収入が少なかったり得られなかったりすれば、当然働かなければならない。しかし、トップレベルでプレーするには、それなりの練習量がいるから、その分仕事に影響が出る。例えばコンディション面を考えて毎日の練習が午前中だったとすれば、選手は午後や夜の仕事を考えなければいけない。だが、そう都合よく仕事は見つからないし、ビジネス面でのキャリアも積みにくいだろう。

そんな状況で、引退となったら…。将来に不安に感じるのは当然だ。

企業に支えられたスポーツであれば、思い切りプレーできる環境もあるが、そうしたケースも年々少なくなってきた。

それだけに最近では、スポーツに理解ある企業の協力で、しっかりと働いてビジネス面でのキャリアも積み上げながら、スポーツでもトップレベルでプレーする、「デュアルキャリア」の考えで頑張ろうとするチームなども出てきている。

各スポーツの選手たちが、セカンドキャリアやデュアルキャリアといった、将来への不安なく思い切り上を目指せる環境づくりというのは、日本のスポーツ界全体の今後の課題だろう。

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