THINK SPORTS『ユーティリティ』

少し前に、スポーツにおける「スペシャリスト」の存在の面白さを紹介したが、今回は反対の考え方で「ユーティリティプレーヤー」に触れたい。

「ユーティリティ」で検索をすると、ネットではゴルフクラブの紹介が出てくる。この言葉は「役に立つもの」という意味で、打ちこなすのが難しい3、4番アイアンの距離を出せ、なおかつ打ちやすいクラブとして開発されたのがユーティリティクラブである。

今回紹介するユーティリティプレーヤーは、複数のポジションをこなすことができ、チームの役に立てる選手になる。

東京オリンピックを戦うサッカー日本代表のメンバー18人が、誰になるのかが話題になっている。

11人で戦うサッカーで、中2日の間隔で連戦をこなしていくのに、18名という人数は少ない。サッカーのワールドカップの場合、この登録メンバーは23人になっていて、これはGK3人と残りの10あるポジションに2人ずつを用意した計算になる。

これは、どこかのポジションにケガなどで欠員が出たり、疲労でコンディションが落ちた場合などに、必ずバックアップがいるということだ。

ところが18人だと、この計算が成り立たない。そのため1人で複数のポジションができるユーティリティプレーヤーを選んで、大会中に起こるあらゆる事態に備えようとするのである。

センターバックもサイドバックもできる選手、右サイドも左サイドもできる選手、中盤も前線もできる選手…。そうした選手たちが今リストにあがり、誰が選ばれるのかとファンの間でも盛んに議論が行われているところだ。

ただ、そのポジションを動けるだけでは意味がない。海外の猛者たちを相手に、日本代表レベルにおいて複数のポジションをこなせないといけないわけだから、その大変さは相当なものだ。

スペシャリストの存在も貴重で面白いが、ユーティリティプレーヤーも、またスポーツにとって重要な存在であることがわかる。

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