「思いだけでは限界がくる」明大サッカーマネジメントが切り拓く大学スポーツの未来
大学サッカーは「可能性を秘めたスポーツコンテンツ」
—松村さんは明治大学サッカー部のポテンシャルをどう感じましたか?
松村:アメリカでも大学チームの施設環境を見てきましたが、日本はまだまだやれることがあるなと。明治大学体育会サッカー部が、そのきっかけを作り、先頭に立つ組織でありたいと思います。まずは認知を広げていきたいですね。
—現場にいる栗田さんは大学サッカーの認知について、どうお考えですか?
栗田:この3、4年で変わってきた気はします。ただ、一般の人にはまだまだ大学サッカーは認知されておらず、サッカー専門の雑誌やインターネットで情報は止まっているなと。もっと認知を広げるポテンシャルはある。言い方を変えれば、まだ誰も手を打っていない「可能性を秘めたスポーツコンテンツ」としてチャンスはあるんじゃないかなとも思います。
これは個人的な夢のような話ですが、大学サッカーの認知を広めるためにも、まずは「大学サッカーといえば」という聖地があるといいと思います。試合会場が飛び飛びで、あまりにも遠いと、お客さんは足を運ぼうと思いません。そういった問題を解決するためにも、大学サッカー専用のスタジアムを作りたいですね。人工芝でも、天然芝でもいいから5000人収容くらいのコンパクトなものを。大学生専用となれば、スタジアム内に各大学のブースを作って紹介するなど、新しい交流の場やコンテンツが生まれる場所にもなります。
インターン生が活躍する学びの場に
—インターン生も募集していますよね。スポーツ業界で働きたい明大生としては、サッカー部で学び、その経験を社会で活かせる。人材育成にも繋がります。
栗田:サッカー部をサポートする組織を作るうえで、学校の皆さんと「せっかく大学でプロジェクトをやるなら、学生の学びの場にもなるように、学生にも声を掛けよう」と話して、インターン生を募集しました。8名くらい応募してくれましたね。
松村:締め切った後も未だに連絡がありますね。
栗田:今は4名で活動をしていて、女性が3人、男性が1人です。それぞれがやりたいことを自由にしてしまうと、組織としてバラバラになってしまうので、「サッカー部はこういう考え方だぞ」というのを初めに伝えて、同じ方向に進めるようにしています。学生のエネルギーを存分に使っていきたいですね。
最近はYouTubeやSNSなどがたくさんあるじゃないですか。 独自メディアを作って配信すれば広告がついてくるかもしれない。内容としては裏側、選手の素が見えるコンテンツがいいですよね。例えば、寮生活の様子、僕の考え方やコーチ陣、選手との対談動画など。普段は見えないようなところを見せてあげると、面白いのではと考えています。
インターン生と共に、ファンクラブコンテンツの検討や会員を増やす方法ついて話し合う。写真は、ファンクラブ特典を発送している様子。
<写真提供:明大サッカーマネジメント>
松村:私も最近はインターン生を成長させたいという思いで活動しています。 アメリカで見たスポーツ施設や、アメリカと日本のスポーツ環境の違い等、実際に見てきたことを伝えていきたいですね。例えば、昼間はバスケ、夜はアイスホッケーをやっているアリーナが普通にあるよ、とか。世界基準のスポーツビジネスを教えて、学生が学校やインターンで学んだことを実践する空間を作っていきたいです。
まだ新型コロナウイルスの影響で、実際にグラウンドには来てもらえていないですけれども、僕たちと同じ目線で、同じ緊張感持って全力で経験を積み重ねていく。その延長線上に、それぞれが持つ夢のアシストができるような活動をしていきたいと思っています。
「明治発、世界へ!」栗田監督 著書発売
明治大学サッカー部を率いて6年、10個のタイトルを獲得。監督就任以来50人以上のプロ選手も輩出してきました。大手ゼネコンのサラリーマンという肩書きも持つ栗田監督が、結果を出し続ける秘訣や人間教育、大学サッカーの未来について記しています。
本記事を読んで、“栗田監督論”をさらに知りたくなった方は、ぜひ読んでみてください!
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