
<第27回IHF女子ハンドボール世界選手権 日程:2025/11/26 ~ 12/14 場所:オランダ、ドイツ>
11月26日から、第27回IHF女子ハンドボール世界選手権が開幕する。
世界トップレベルの技術とスピードがぶつかり合う世界選手権において、日本代表・おりひめジャパンはどのような活躍を見せてくれるのか。
本記事では、世界選手権の見どころを紹介する。
第27回IHF女子ハンドボール世界選手権見どころ
予選リーグ第1戦:デンマーク戦
おりひめジャパンは世界選手権初戦で、グループAトップレベルの強豪・デンマークと激突する。デンマークは1996~2004年に五輪3連覇、2024年パリ五輪銅メダル、直近2大会の女子世界選手権3位と安定して強さを誇る強豪国だ。さらに日本の新監督モーテン・ソウバク氏の公式戦初陣の相手が、母国デンマークとなる点も注目される。
デンマークも体制転換期にあり、2025年4月から歴代2人目の女性監督ヘルレ・トムセン氏が就任。デビュー戦となった9月のアイスランド戦では39-23と圧勝し好スタートを切った。トムセン監督は核となる主力の継続起用を掲げ、6度目の世界選手権となるLBアンネ・メッテ・ハンセンをはじめ、エマ・フリーズ、クリスティーナ・ヨルゲンセンら攻撃陣、欧州選手権MVPのGKアンナ・クリステンセンが厚い戦力を形成する。
一方でPV陣のイヴェルセン姉妹が代表外、ヘインダールは出産復帰直後で、ポストに経験不足の選手が入る可能性もある。そのため、日本によっては付け入る隙はあると言える。2023年世界選手権で日本はデンマークを27-26で破る大金星を挙げており、再現にも期待が高まっている。
予選リーグ第2戦:ルーマニア戦
ルーマニア女子代表はいま過去の強さを失い、再建期の真っただ中にある。
2023年大会は12位と低迷し、チームの象徴で「世界最高の選手」と称されたクリスティナ・ネアグが2024年5月末に引退。さらに192cmの大型PVクリナ・ピンテア、司令塔CBエリザ・ブチェスキも故障を理由に代表を離れたことで、中核を一気に失った。
PVロレーナ・オスタセ、CBクリスティナ・ラシュロ、LBビアンカ・バザリウらを軸に若手を加えて再構築が進むが、メンバーは全員国内リーグ所属で国際経験が乏しい。欧州のクラブ大会でも出場時間が限られる選手が多い点も懸念材料だ。
さらに開幕58日前にはペラ前監督が突如辞任。後任にはジュニア代表監督のオヴィディウ・ミハイラが就任したものの、シニア代表の指揮経験はなく、世界選手権レベルでの実績もない。大会直前の監督交代はチームの混乱に拍車をかけている。
日本は2023年大会でルーマニアに28-32で敗れたが、2019年大会では37-20で大勝している。世代交代期・国内組のみ・監督交代で揺れる現状を踏まえると、今回の対戦では日本に勝機があると言える。
予選リーグ第3戦:クロアチア戦
クロアチア女子代表の世界選手権出場は今回で9回目で、最高成績は1997年の6位。直近の順位は2021年18位、2023年14位と伸び悩み、「欧州のダークホース」的立ち位置が続く。
今大会の出場も欧州予選ではスペインに敗れて権利を逃したものの、ハンドボール普及度や国際大会での実績などが評価され、32ヵ国中2枠のみのワイルドカードで出場を認められた。
日本との過去対戦成績は1勝1敗で、2021年大会では日本が28-26で勝利。中山佳穂の9得点をはじめ、現代表の主力が大きく貢献しており、苦手意識はない。
一方のクロアチアは大幅な世代交代期にある。2023年就任のイビツァ・オブルヴァン監督が若手登用を進め、EHF EURO 2020銅メダリストのPVアナ・デベリッチが引退、主将カタリーナ・イェジッチも負傷離脱。RBクララ・ビルティッチ、PVミア・ブルキッチなど主力の不在も続き、入れ替わりが激しい。
攻撃の司令塔はCBデヤナ・ミロサヴリェヴィッチ、守護神は182cmのGKルチヤ・ベシェンが軸となる見込みで、経験不足の中でも若いチームで挑む構図となっている。
直前の強化試合は1勝1敗
おりひめジャパンは11月22日、フランスで開催された国際強化試合「Tournoi de France」でアンゴラ代表と対戦し、29-28で勝利した。世界選手権直前の実戦として臨んだ試合は、アフリカ屈指のフィジカルを誇る強豪が相手となったが、日本は立ち上がりから集中を切らさず主導権を握った。
守備では体格差を生かしたアンゴラのピボット攻撃に苦戦しながらも、ソウバク監督の下で磨いてきたアグレッシブな守備が機能。GK亀谷さくらを中心に要所でセーブを重ね、失点を最小限に抑えた。
攻撃面では速攻とセットオフェンスを柔軟に使い分け、さらに状況に応じて7人攻撃を取り入れるなど戦術の幅が光り、接戦の中でも得点を積み重ねた。中山佳穂と秋山なつみが5得点、相澤菜月と吉留有紀が4得点と攻撃陣がバランス良く得点。GK陣も亀谷が9セーブ(33%)、上嶋亜樹が3セーブで勝利に貢献した。世界選手権を前に、戦術と組織力が結果として表れた価値ある勝利となった。
第2戦では催国フランスと対戦し、22-36で敗れた。両サイドの吉留有紀(6得点)、秋山なつみ(5得点)が高さのある守備陣に対し果敢に得点を重ね、前半は組織的守備とGK亀谷さくらの好セーブも光った。しかし後半はフランスの強度とスピードに押され得点差が開いた形となった。途中出場のGK上嶋亜樹は好守に加え自ら1得点を挙げる活躍を見せた。
それでも、東京・パリ五輪を連覇中の世界女王相手におりひめジャパンは前半15分まで7-5とリードを奪うなど大きな手応えを示した。
Follow @ssn_supersports


