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「他者の影響を受けている」WTAがペンからの”釈明メール”の信憑性を否定<SMASH>

告発後に姿を見せないペン・シューアイを誰もが心配している。(C)Getty Images
 すでに国際的な問題へと発展しているペン・シューアイ(中国)の失踪騒動。中国前副首相から性的暴行を受けていたと告発後、消息不明となっていた彼女はこれまでWTA(女子テニス協会)側に計2通のメールを送ったと報じられているが、同協会のCEO(最高責任者)を務めるスティーブ・サイモン氏は依然としてペンの安否に深い疑念を抱いているようだ。

 1通目のメールは 11月17日に中国国営放送『CGTN』が公式ツイッターに投稿したもの。そこには「今回の告発は真実でなかった」と記され、「今は自宅で休んでいてなにも問題はない」とあたかも行方不明説を否定するかのような内容まで綴られていた。

 2通目は「長年の友人」と名乗る中国人男性、丁力(リ・ディング)氏が現地11月26に自身のTwitterで公開したものだった。丁氏によるとそのメールでペンは「今のところ、私は邪魔されたくありません。私の個人的な問題を誇張しないでください。静かに暮らしたいと思っています」と述べていたという。だが、その後丁氏は「メールを受信したはずなのにサイモン氏はそれに応じなかった」と主張し、WTA側を痛烈に批判していた。
  今回WTAはアメリカの通信社『AP通信』に送付した声明の中で「彼女の回答が他者の影響を受けていることは明らかだ」として、ペンが送ったとされている2通のメールの信憑性を否定。さらに、「(責任者の)サイモンが様々な通信手段を使ってペン・シューアイにコンタクトを取っている」と現状を報告した上で、以下のようなコメントを残している。

「彼(サイモン)は、ペンが検閲や強制から解放されていないことに深い疑念を抱いている。彼女の回答が検閲者のものではなく、彼女自身のものであると確信するまで、ペンにメールでの再接触をしないことにした。WTAは、彼女が自由に、オープンに、そして直接コミュニケーションをとることができる環境にいるかどうかについて、引き続き懸念している」

 来年2月の北京五輪の開催にも多大なる影響を及ぼしかねないこの騒動はいつ終わりを迎えるのだろうか。とにかくペンが無事に暮らしていることを祈るばかりだ。

文●中村光佑

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