太田雄貴の危機感。「スポーツのライバルは、他の娯楽です。他競技ではないんです」

太田雄貴が考える「ガバナンス」の重要性

──こうした話は理事会でもされていますか?

太田 今の理事会のメインテーマは「規約」と「ガバナンス」です。アスリートで言うと、ひたすら下半身トレーニングをしているイメージ。上半身は後回しで、ひたすらスクワットとデットリフトばっかりやっています。

スポーツリーグを健全な状態で運営するにはスタープレーヤーに依存しない組織作りが重要です。1人のカリスマ的な人間に頼っている状態では組織として脆くなります。

今のハンドボールはしっかりとしたガバナンスを作っていて、それができれば仮に葦原さんがいなくなったとしても組織として動き続けられる。スタープレーヤーに依存せず、ちゃんとルール決めされていることで、結果的に選手や役員などの人や組織を守ることができる。そこが肝だと思います。

──最後に、太田さんらハンドボールの新しい理事の方々が見据える目標は?

太田 葦原理事長の考えは、ビジネスとしてしっかり回るリーグを作ること。われわれは、それを全面的にバックアップしたいと思っています。選手、クラブチーム、リーグの3者が、稼ぐことに対してポジティブになることが大事です。

この1年で目線を合わせることが大事で、そのためには対話が必要。向き合って、膝を付き合わせることでしか解決しないことは多い。関わる人たち全員の目線を高い位置で合わせて、稼げる組織になることがハンドボールリーグとしてやることだと思っています。

■プロフィール
太田雄貴(おおた・ゆうき)

2008年に行われた北京オリンピックのフェンシング男子フルーレ個人で、銀メダルを獲得した、日本初のフェンシング銀メダリスト。2012年のロンドンオリンピックでは男子フルーレ団体戦で、日本史上初となる団体銀メダル獲得した。2017年に公益社団法人日本フェンシング協会会長、2018年に国際フェンシング連盟副会長に就任し、2021年にはハンドボールリーグの理事に就任。現在は日本人3人目となるIOCアスリート委員も務めている。

■クレジット
写真:太田雄貴さん提供、JHL提供
インタビュー:北健一郎(Smart Sports News編集長)、上野直彦
構成:川嶋正隆

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