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シャワーの使い方でトラブルに? ゴルフ場のお風呂場で問われる常識

ゴルフ場のお風呂は公共の場所。自宅のお風呂と同じ使い方をしていたらトラブルの原因になる(撮影:ALBA)

ゴルフを始めたのは昭和53年(1978年)でしたが、ゴルフはデビューしたばかりの初心者でも、お風呂の腕前(マナー)はかなりのレベルにあると胸を張っていました。当時、東京都内でも、下町にあった母方の実家にはお風呂がなく、泊まりに行けば銭湯に行き、鍛えられていたからです。※昭和53年、都内の自家風呂保有率は64.7%というデータあり。(総務省 住宅・土地統計調査)

21世紀になり、ジュニアゴルファーを育成するイベントの反省会で、コースのスタッフに、子供が楽しそうにゴルフをしているのは癒やされるけれど、お風呂場の使い方が酷くて、他の来場者からクレームが来て困る、と相談されたことが何度もありました。

実際に現場を確認してわかったことは『子供ではなく、親がダメ』という現実でした。

一番多いクレームは、濡れた身体で浴室を出て、脱衣所を歩くことです。脱衣所の床はビショビショで、あとから入ってきた人の靴下は濡れまくりです。後日、イベント参加者にアンケートを取ってわかったのは、自宅でもそうしているという実態でした。父親と子供が濡らした廊下を母親が拭いて後始末というのは、普通だと思っていた、という家庭が多いことに驚いたのです。

ゴルフのイベントなのに、「タオルを絞って浴室を出る前に身体の水気を拭き取るんですよ」、という説明を何度もしました。時間が経ってから、感謝されたこともあった良い思い出です。

次にコースのお風呂で話題になるのが、“OBシャワー”問題。

比較的お金があるコースの浴室内の洗い場に、仕切りが付いているのが当たり前になったのは平成の後期。コロナ禍の遙か以前のことです。この仕切りが設置された理由は、「シャワーのお湯が、隣の人にかかってトラブルになることが増えた」からなのです。

家のお風呂では、シャワーのお湯が自分の身体や頭を外れて、横に行こうが、後ろに行こうが、誰にも迷惑をかけませんが、公共浴場では、そうはいきません。加害者は無意識なので、知らんふりしていますから、被害者はよけいにカチンとくるというわけです。中にはお湯ではなく、水シャワー(夏場など)を使っている人もいたりして、冷たい水がかかるとさらに怒りは倍増してしまうことも。

コントロールできないシャワー、つまりOBシャワーです。

ゴルフは上手くなればなるほど、余計なところまで見えてしまうもの。ゴルフ場は多くのゴルファーが集まる、公共の場所でもあります。バンカーを均してから出るのは、立つ鳥跡を濁さずの精神であり、後からの人のことを考えた行動。そしてそれは、巡り巡って自分にかえってくる。ゴルフコース内だけではなく、お風呂場でもゴルファーは試されています。

毎回、トイレを流さない人を尊敬できないように、どんなにスコアが良くとも、お風呂で傍若無人な振る舞いをするような人も尊敬されません。ゴルフは、そういう意味でも怖いゲームなのです。

(取材/文・篠原嗣典)

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