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「自分を見つける旅をしなきゃいけない」 トップ10は1回 渋野日向子の2023年シーズンは“苦”

渋野日向子、苦悩の1年を振り返る(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン 最終日◇12日◇ペリカンGC(米フロリダ州)◇6349ヤード・パー70>

渋野日向子が苦しかった2023年シーズンを終えた。昨年は出場を果たしたツアー上位60人の最終戦出場をかなえられず、自身最終戦は61位タイ。8月の「AIG女子オープン」(全英)以降は予選落ちが3回、最高成績は9月の「クローガー・クイーンシティ選手権」の36位タイ。ふがいない成績を受け止めて、帰国の途につく。

スイング改造を施し臨んだシーズン開幕はタイで迎えた。翌週のシンガポール戦と、予選落ちのない大会でそれぞれ27位タイ、33位タイ。そして米本土の戦いに移る。すると初戦では初日の出遅れを取り戻す快進撃を2日目から見せ、7位タイフィニッシュ。翌週も最終日に追い上げて17位と、序盤戦は上々の滑り出しだった。

ところが1週空いて乗り込んだハワイで思わぬアクシデントに見舞われる。左手を痛め、その後は痛みと向き合う日々が続いた。そのハワイ戦は57位タイに終わり、メジャー初戦の「シェブロン選手権」では28位タイ。翌戦のロサンゼルス戦も33位タイと予選は突破するが、練習ラウンドではショットをスキップし、パターとウェッジだけを持つことも多く、ケガの影響が心配された。

「言い訳にはしたくない」とケガによる調整不足、そしてその後の低迷についても弁明する気はない。「痛くなってしまったのは自分の責任だし、そこから何もできなかったのも自分の責任。結局自分が悪い」とすべてを受け止める。「うまく立て直せなかった」と、6月からの「全米女子プロ」、「全米女子オープン」のメジャー連戦でも結果を残すまでに至らず、8月以降も不振に陥った。

今大会を終えて、「自分自身でも自分がこれだけは絶対に持っていたいというものすら分からない状態」と迷路の中をさまよっていた1年の苦悩を語る。首位で予選ラウンドを駆け抜けた全英前週の「スコティッシュ女子オープン」でも、3日目に「77」を叩き後退。自信と内容に裏付けされた好スコアなら持続できるが、自身のなかで消化できない何かを探しながらでは、結果を求めることは後回しになってしまった。

後半戦に入ると、常にシード争いと向き合う状況が、さらに渋野を苦しめた。10月に迎えたアジアシリーズ4連戦でも「結果を求めないといけない」としながらも、その結果をどう出していいのか分からない。悩む日々が続き、ついに迎えた今週も、その答えを見つけ出せないまま終戦した。

「悔しい思いを出したらキリがないけど、結局1年通して本当に中途半端」と唇をかみしめ、語った今の思い。「こういう経験ができてすごくありがたい。自分を見つける旅をしなきゃいけないし、それがオフの課題になりそうです」。全英制覇から来年で5年目。次のステップを踏み出すための試練となった23年。シード落ちとはいえ、例年通りであれば、前半戦の出場権は約束されている。「何かにチャレンジしないといけない」という決意の言葉が、来年はきっと実を結ぶはずだ。(文・高桑均)

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