欧州Vを引っ提げ日本オープンに挑む21歳の久常涼 秘策は『スパイダー』
<日本オープン 事前情報◇10日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
9月に行われたフランスのナショナルオープンで、日本勢としては青木功、松山英樹に次ぐ3人目の欧州ツアー優勝を成し遂げた21歳の久常涼。それからすぐに帰国すると、「体のダメージが大きかったので」と、2週間のオフで連戦の疲れを癒やし、今週は「日本オープン」に凱旋出場する。
「ありがたいことに、多くの方に祝っていただき、今週もコースでたくさんの先輩プロがおめでとうと言ってくださって、本当にうれしい限りです」と祝福を受けた。そして、「フランスオープンで勝ってしまったので、期待が高いと思いますが、頑張ります!」と高らかに宣言した。
欧州ツアーでは、すでにツアーカードを保持している者を除く、ポイントレース上位10人が来季の米PGAツアーへの切符を得る。いま久常は7番手で、このままなら来季は米国男子ツアーでプレーしている可能性が高い。欧州ツアーは今季残り5試合で、今週から欧州ツアーはスペインでの2連戦が開催。順位を盤石にするためには、欧州を優先させる選択肢もあったが、今週と来週は日本にいることを選んだ。
「僕の憧れている川村さんが、このコースで優勝されている。だからこの舞台には出たかった」。欧州ツアーを主戦場とする川村昌弘とは、今季同じ舞台で戦ってきた。その川村の国内男子ツアー初優勝の舞台が、今週と同じ茨木カンツリー倶楽部 西コースで行われた2013年の「アジアパシフィック パナソニックオープン」なのだ。コース対策は「少し聞いてきたので大丈夫!」と話すが、中身については「内緒」という。
そして久常は、来週日本で開催される米PGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」出場も視野に入れている。現在出場権はないが、主催者推薦での出場を期待している。「たまたま優勝できて、アピールするチャンスもできたので、勝手に期待を膨らませてはいるんですけど、ZOZOさんお願いします」と笑わせる。
そんな久常は欧州ツアーではL字型のオデッセイ『ブラックシリーズiX #9』を愛用してきたが、今週は日本では未発表のテーラーメイド『Spider TOUR Z』が握られていた。すでに女子ツアーでは、古江彩佳や岩井明愛が同シリーズを試合で投入している。
自分でしっかり打てるマニュアルなL字と、ある程度ヘッドの慣性が働いてオートマチックに打てるスパイダーではまったく、振り感は違うが、「海外の芝目のきついグリーンから、日本のピュアなグリーンに戻ってきて、構えやすくて安心感のあるパターを求めていた。今回の新作がそれにフィットしてくれました」と、その意図を語る。
そして今大会の目標については、「(欧州で)勝ったのがフランスのナショナルオープンだったので、日本のナショナルオープンももちろん優勝したい。そこを目指してやりたいですけど、あまり自信はないので、静かに頑張ります」と控えめ。調子がいいことをしっかりアピールして、来週のZOZO出場につながる一週間にしたい。(文・下村耕平)
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