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女子ツアーで始まった託児所が、働く女性の可能性を広げる【原田香里のゴルフ未来会議】

国内女子ツアー「ワールドレディスサロンパスカップ」の会場に設けられて託児所【写真提供:JLPGA】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今日は、JLPGAツアーで始まった託児所のお話から、働く女性のワークライフバランスについて考えてみたいと思います。

『JLPGA Welcome Babies &Kids Project Supported by 住友商事』という名前の付いた新しいプロジェクトが、5月はじめの「ワールドレディスサロンパスカップ」で始まりました。女性ばかりの団体であるJLPGAでは、ずいぶん前からツアーに託児所を作るという案は何度も出ていました。
 
20年以上前から米女子ツアーでは当たり前のように毎試合、託児所があるという話は聞いていました。JLPGAでも、長年検討していました。けれども、実際に託児所を設けるとなると話がなかなか進みませんでした。
 
ご存じの方も多いかと思いますが、現在のJLPGAツアーでは一部を除き、大会ごとに主催者が違います。それぞれの主催者様とのすり合わせが必要だったり、クラブハウスを中心にした試合会場も広いとはいえないことが多く、託児所を作る場所も考えなくてはなりません。もちろん、子供達の安全についても、万全を期さなくてはなりません。
 
また、実際に子供を連れてツアーに出場する選手も、決して多くはありませんでした。あったほうがいいのはわかっているけど、必要なのは一部の選手だけ、という状況でもあったのです。ツアーとしての託児所設置が、なかなか進まなかったのには、色々な事情が入り混じっています。
 
それでも、主催者様のお考えで、単発で託児所を設置して下さったことは何度かあり、そのたびに、お子さんのいる選手たちに歓迎されていました。
 
でも、今回は違います。まだ全部の試合で、というのは難しいようですし、どの試合で実施できるかは追い追い調整していくようですが、住友商事さまとのコラボレーションで、ツアー自体が託児所を作ることができるようになったのです。
 
今回、ワールドレディスに出場していた中で、お子さんがいるのは若林舞衣子さんと大西葵さんです。若林さんが息子さんとともに託児所にいる姿は、オフィシャルウェブサイトにも掲載されていたので、託児所を利用したようですね。
 
報じられているものを読む限り、JLPGAではツアーに出場している選手だけでなく、試合関連の仕事やテレビの解説などで会場入りするJLPGA会員なら、託児所を利用できるようにすることを考えているとのことでした。プロゴルファーの仕事は、試合でプレーすることだけではなく、様々な形で試合に関わる会員がいることを考えれば、いい話ですよね。
 
環境が整えば、プレーヤーとして活動しながらでも、子供を持つことを考えやすくなるでしょう。第一線でプレーをしながら、子育てすることが、より現実的になってくるのはまちがいありません。
 
プロゴルファーに限らず、女性が仕事をしながら子供を産み、育てることは、今ではごく当たり前になってきています。パートナーとともに子育てをすることも、子供を預けて働くことも、一般的な時代なのです。そんな中で、ツアーに託児所を設置することはJLPGAにとっても、また一歩大きく前進する出来事になるでしょう。
 
ツアープレーヤーとして活躍するプロゴルファーはもちろんですが、働く女性が、より励まされ、素敵なワークライフバランスを保てることの一助となれば、素晴らしいことですよね!

原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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