単独2位でも「修正を続ける」 吉田優利はどこまでもゴルフに几帳面だから強い!
<大東建託・いい部屋ネットレディス 2日目◇21日◇ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡県)◇6540 ヤード・パー72>
7アンダー・首位タイから4つスコアを伸ばして、吉田優利がトータル11アンダーの2位で予選2日間を終えた。インコーススタートのこの日は、前半1イーグル・2バーディ。後半はふたつのボギーを叩くも、2バーディを奪ってスコアを落とさなかった。
「後半は伸ばせませんでしたが、そんなに悪いゴルフではありませんでした。ボギーもひとつ目はディボットからのセカンドショット、ふたつ目はグリーンを外してカート道からドロップしたのですが、どこに落としても悪いライで…。ダブルボギーを叩かなくてよかったと思えるボギーでした」と、振り返った。
後半については、「アドレスの向きやスイングを微調整しながらのラウンドだった」と、少しだけ表情を曇らせた吉田。首位タイ発進だった初日も、ラウンド後に「修正したい部分のほうが多い」と話していたが、好成績ながらも修正が必要だというのはどういうことなのだろう。
「何も考えずに回れるのは、年間でも1試合か2試合。プロゴルファーだったらというか、プロゴルファーなら、常に何かを考えて修正しながらラウンドしていると思います。何も考えずに回れるようになったら、スコアはもっと出るようになると思います」
そして「結果が良くても、納得できないときだってあります。特にアドレスのズレは大きいです。たった2ヤード向きがずれているだけで、スイングは変わります」。毎ホール完璧に立つことは難しいことを明かした。
これは「同じことを繰り返したくはないんだけど、どうしても避けきれないこと」で、コンマいくつかのほんのわずかなズレでも、それが積み重なってくるとスコアが悪くなる。それがゴルフの難しさなのだとも。
毎日クラブを振り続け、ラウンドを重ねているからこそ、微妙すぎるズレを考えながら、プロゴルファーは日々戦っている。特に夏のこの時期は体力の消耗も激しい。それだけに要注意なのだと話す。吉田はその対策として「毎朝必ず、体重を計測しています。すごく疲れたと感じた日は試合が終わった後にも体重を量っていますが、400~500グラムは減っています。ときには1キロを超えるくらい減っているときもあります」と、教えてくれた。
体重減に対してはしっかり水分補給をし、栄養をとって翌日に備えるのだそうだ。プロゴルファーの戦いは、コースの上だけではないということ。そのことを十分過ぎるほど、吉田は理解している。
吉田は今季「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でメジャー初優勝を遂げたときも、「優勝できましたけど改善点はあるので、あしたから練習したいと思います」と優勝会見で話していた。それを見て、コーチの辻村明志氏は「優利には“前後際断”という言葉がふさわしい」と目を細めていた。
前後際断とは、過ぎ去ったことにこだわらず、起こるかどうかも分からないことに不安にならないように、過去も未来も断ち切っていまできることを懸命にするという意味。まさに吉田が几帳面に、そして真摯(しんし)にゴルフに対峙している姿である。ここに吉田の強さの秘密があるのだ。
残り2日間、吉田がいくつスコアを伸ばしてくるのか。考えるだけでもワクワクする。(文・河合昌浩)
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