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青木翔コーチが渋野日向子のスイング改造を語る「手が長いのでトップは高くなるはず」

左が今年のスイングのトップで、右が22年時のもの。手元の高さとクラブのポジションが大きく変わった(撮影:ALBA)

昨年の最終戦を終えてから、わずかな期間で劇的に変わった渋野日向子の新スイング。再タッグを組んだ青木翔コーチに、スイング改造のポイントを聞いた。

もっとも変化がわかりやすいのは、トップの高さだろう。22年はトップで手元が頭よりも低い位置にあり、クラブのポジションも浅い。今年のスイングは20年以前のように、トップで頭よりも手元が高い位置にあり、クラブも深く入っている。

実際、渋野自身も青木コーチから『右ヒジ高く』と言われ、トップを特に意識している。「右ヒジがすごく下に入りすぎるので、右ヒジの位置をとにかく高くするように言っていますね。シブコは身長よりも9センチ手が長いので、体の構造上、トップは高くなるはずなんです。それを強引に低くしてしまったから、手のローテーションが入ったり、ヒジのポジションがおかしくなっていた」。

アドレスでハンドダウン気味に見えるのが渋野の特徴だが、それは手が長いから。身長よりもウィングスパン(両手を広げた長さ)が長いため、スイングに落とし込んだとき、手元が高くなるのが「自然」なのだ。この「自然」というキーワードを青木コーチはアドレスにも使う。「重心は上げてスタンスは狭くしました。シブコは広くなりすぎる傾向がありますので。いかに自然に立つかを目標に取り組んでいます」。

実際に昨年と今年のアドレスを比較してみると、いまのほうが脱力しているように見える。重心が上がってボール位置も近くなった。昨年までのようなスタンスが広く、重心が低く、ハンドダウンが強いアドレスだと、ボールが遠いためクラブヘッドがインサイドから入りすぎて右プッシュなどのミスが出てしまう。アドレスの重心を上げないと、高いトップを作っても意味がないのだ。「実際、形は後付けです」と青木コーチはいう。

バックスイングのフェースの向きにも変化は表れている。昨年までは手を使っていたため、フェースを開きながら上げていた。「シャットに変えないと振り遅れての右プッシュは止まらない。基本的にドローは軌道に対してクローズにフェースを使わないといけないので、それに合わせてグリップもフックにしました」。正面から見たグリップの形を見ると、いまは右手は上から、左手は下から握るフックグリップに変わっている。そのまま手先を使わずに上げれば、フェースをシャットに使えるのだ。

「上から潰して左に振るのが第一段階」

22年はインサイドからシャローにヘッドが入ってくるため、沈んだライや左足下がりのライからのアイアンショットが苦手だった。それがいまは高いトップから、ボールを上から潰しながら打つことがだんだんできるようになってきている。上から入れば当然、以前よりフォローは左に抜けていく。「自然になるにはもうちょい先。何も考えずにパッと構えて打てるようになれば、やっぱりちょい左を向いてドローを狙ってくると思う」。

このスイング改造の最終地点は「スピンの利いたドロー」だが、「状況的にレベルが上がってきたら(渋野は)『フェードを打ちたい』って言い出すから、アドレスを変えればフェードを打てるように仕込んでおこうかなと思っています」というところまで青木コーチは考えている。

このオフからわずか2カ月で劇的にスイングを変えてきた渋野。「彼女の素直さというか、いい意味でも悪い意味でも徹底してやってくれるので、それが彼女のすごいところじゃないかなと思います。そこは信頼してくれているんだろうなと。だからこっちも一生懸命やらないといけないし。必死です(笑)」

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