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より実力が反映されるリランキング制度 ツアー出場権の今昔【原田香里のゴルフ未来会議】

先週の「ニチレイレディス」で5位タイに入り、QT65位だった鶴岡果恋はリランキングで27位に浮上(撮影:米山聡明)

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今日はリランキングの話をしましょう。山下美夢有さんが通算10勝目を挙げた「ニチレイレディス」は、シーズンの16試合目。ここまでをJLPGAツアーでは”前半戦“という言い方をします。

シード選手を除いて年間38試合のうち最初の16試合の出場優先順位は、昨年、惜しくもシードを逃したメルセデスランキング51位から55位の選手、ステップアップツアーの賞金ランキング上位2人、QTファイナルステージの順位で決まっています。これが適用されるのが前半戦です。
 
シード選手以外の選手に、この16試合の結果が反映されたメルセデスランキングのポイントで順位をつけたものが第1回リランキングになります。昨年のQT結果ではなく、こちらの出場優先順位が、9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(22~24日)終了後の第2回リランキングまで適用されます。このタイミングでもう1度、同じことが行われ、今季の優勝者などしか出場できない最終戦の前週、シード権が確定する「大王製紙エリエールレディス」までの出場優先順位が決まります。
 
歴史をひも解くと、JLPGAがツアー制度を導入したのが1988年。私がプロになったのはその翌年、1989年のことです。当時、シード選手以外の出場は、毎月行われる月例競技の順位で決まっていました。上位に入っても出場できるのは1カ月だけ。翌月も同じことを繰り返すのでなかなか落ち着かないものでした。
 
これが1991年に統一予選会という形に代わり、やがてQTになります。最初はQTで上位に入れば、年間を通して試合に出場できていました。やがて、男子ツアーで始まったリランキング制度を参考に導入の話が出始めましたが、導入にこぎつけたのは2018年のことでした。
 
この頃には私も理事だったので、リランキング制度は何度も議題に上がりながら、実現には何年もかかったことを覚えています。
 
こうして始まったリランキングによって、シード選手以外は1試合も、いえ1打も無駄にはできず、より厳しい状況になりました。けれども、“旬”の選手をより多く試合で見られるようになり、選手たちの競争心もさらに強くなりました。実力がより反映されて、ツアー全体のレベルが上がってきたのは、ご存じのとおりです。
 
出場できる人数は試合によって違うため、確実なことは言えませんが、リランキング35位以内なら、ほとんどの試合に出られることがこれまでの実績でわかっています。今回のリランキングでは、QT82位だった比嘉真美子さんが11位に入って今後の試合に出られることになったのが目立っています。他にも、ニチレイレディス5位タイに入った鶴岡果恋さんが、27位となっています。QT65位で、大会前までの暫定リランキングでは36位だったので、より安心できる位置に上がったといっていいでしょう。
 
QTランキング1位の若林舞衣子さんはリランキング31位、QT2位の木下彩さんは36位にランクダウンしています。第2回リランキングまでに結果を出さないと、その先、出られる試合が限られてしまうかもしれません。
 
より強い選手を育成するために様々な改革を続けてきたJLPGAツアー。試合に出るには主催者推薦というカテゴリーもあります。ただ、2025年からはすべての試合を現在の主催者様ではなく、JLPGAが主催することを宣言しているので、実力以外の要素が絡む主催者推薦という出場枠については、今後考えていくことになるのかもしれません。
 
第1回リランキング後は、海外メジャーも多いですし、夏場で選手たちも疲労がたまる時期。シード選手が休むことも出てくるでしょうし、体調不良の選手も出てくるでしょう。リランキング対象の選手たちにとってはチャンスともいえる時期です。これからの暑い季節、体調に気をつけながら1打、1打大事にして頑張る彼女たちを応援したいと思います。

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