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6アンダーも「内容的なズレ」を感じた一日 渋野日向子が意識している“自分コントロール”

渋野日向子はショットの“ズレ”を意識しながらラウンド。「66」は強気のパットと自分コントロールの成果だ(撮影:福田文平)

<ホンダLPGAタイランド 2日目◇23日◇サイアムCCパタヤオールドC(タイ)◇6576ヤード・パー72>

「66」をたたき出し、トータル6アンダーの17位タイまで順位を上げた渋野日向子。「ゴルフは結果なので、このスコアで終われたのはすごく良かった。ひさしぶりにいっぱいバーディが獲れましたね」とラウンド後に話したが、表情はどこかスッキリしない。

その原因は「内容的にズレがあった」という部分。スイング時に、現在強く意識しているトップまで腕を上げる際の軌道で感じた“ズレ”がそれにあたる。スタートの10番は、ティショットを引っかけボールは大きく左に飛び出した。続く11番も左ラフからのセカンドショットを強いられることに。この日唯一のボギーを打った13番も、ティショットが右のバンカーにつかまり大目玉になったことがきっかけで喫したものだった。

フェアウェイキープ数は前日より1回減の11回、パーオン数は前日と同じ12回と「納得感がある」と話していた初日から大きく数値が落ちたわけではない。ただ「きのうのほうが、“できていたな”と感じる場面が多かった。トップに上げる感覚がちょっと違った」という。「でも(スイングを)そこで止められないし、あとは気合でした(笑)」。最後にはこう笑い飛ばしたが、その気持ち悪さは少しひっかかる。

それでも前述した10番はパー5ということもあり、最後は1.5メートルを沈めてバーディに。12番パー3では、イメージ通りのスイングで2.5メートルにつけ、それを決めた。随所にいいショットが見られたが、アプローチやパターでカバーした部分も多い。「去年ほど大きなミスは少なく感じた。ズレは最後まで続いたけど、ミスは最小限で済んだかな」。そういった部分に、取り組んできたことの跡は感じられる。

ただ、グリーン上のプレーを振り返る時は、「自分らしいなと思えた」と話す。初日30回だったパット数が、この日は24回に。3メートルほどのパットを沈めて奪ったバーディも目立った。「5メートルくらいもしっかり打てていたし、入って良かったですね」。10番は1.5メートルを“壁ドン”で決めたもの。「やべ~! つえ~って思った(笑)。なかなかしっかり打ちました」。“代名詞”ともいえるプレーを取り戻した感覚には、笑みもこぼれる。

スコアは出ていても、葛藤も大きかったラウンド。「私は気持ちの上下が大きいほう」という渋野だが、そのなかでも冷静に歩みを進めた。「ミスをしても、次でリカバリーすると考えていました。ドライバーをひっかけてバンカーに入ろうが、そんなにマイナスには考えないようにしていた」。このセルフコントロールも、ビッグスコアの要因に感じる。「今までならガツンと落ちるか、気が乱れていた。自分で変えていかないと。せっかく4日間プレーできるので」。スイング以外にも、こんな“変化”も意識している。

西村優菜、アン・ナリン(韓国)とプレーしたラウンドでは、楽しそうにゴルフをする姿もよく目に入ってきた。「すごくいいグループで回れるなって、きのう(組み合わせが)出た時から思っていた。楽しく回れるのはいいことだし、いい雰囲気で良かったですね」。これも明るい気持ちになれる、大きな要因になった。

一日に6アンダー以上を記録したのは、昨年8月に首位発進を決めた「スコティッシュ女子オープン」初日(64、-8)以来のこと。初日51位だった順位も大きく上がり、トップとの差も4打と大きなものではない。上を目指せる位置だが、今大事にするのは「もう少しショットの感覚をよくできたら。まずはやるべきことをしっかりとやりたい」という部分。あすはスコア、内容ともに満点な一日にしたい。(文・間宮輝憲)

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