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台風10号との“激闘”ドキュメント 36Hを完遂し戸張捷氏は「運営歴50年で初めての経験」

大会成立に尽力したチーム富士桜。その功績は(撮影:藤井孝太郎)

<フジサンケイクラシック 最終日◇1日◇富士桜カントリー倶楽部(山梨県)◇7424ヤード・パー70>

3日連続の順延により5年ぶりとなる36ホールの短縮競技となった国内男子ツアー。台風10号の影響で雨が降ったり、やんだりと不規則な天候に。競技が断続的に中断する異例の事態が起こった。

初日は、午後4時頃に雨脚が強まり第1ラウンドが順延した。そして、迎えた2日目。コースコンディションの改修を行ったため、第1ラウンドは午前10時に再開。しかし、午前11時頃に大雨がコースを襲い、9番と18番のバンカーに水が溜まる事態となり、プレー続行が厳しい状態に。午後1時43分に第1ラウンドのすべての選手がホールアウトをしたところで、再びサスペンデッドが決まった。

その後も雨は降り続け、復旧作業が始まったのは深夜1時から。姉妹コースなどからの応援を合わせて、コース管理のスタッフは60人体制で整備にあたった。グリーンキーパー・和泉秀峰さんは、「雨量が合計200ミリ前後ぐらいは降っていましたので、バンカーにたまった水をポンプで汲み取りをする作業をしておりました。普段から異常気象となっておりますので、対応することはできるのですが、トーナメントコースと通常コース、両方整備することが一番大変でした」。朝のスタート時間直前まで“徹夜”で作業を行った。

3日目の朝は、打って変わって晴天となり第2ラウンドは午前7時に再開。お昼には、前半の20組がプレーを終えた。しかし、午後3時頃に再びの雨で競技が中断。54ホールへの短縮競技が発表された。

そして最終日の朝。「終日、雨の予報がある」との理由で36ホールでの決着に。和泉さんは、「朝はもう一丸となって『54ホールやるぞ!』って言って声がけをしてやっていたので、54ホールをやりたかったです。でも36ホールを無事に選手の方が怪我なく終わりましたので、良かったと思います」と、胸をなでおろした。

36ホールを完遂したことで、ツアー史上初となる大会不成立になることを防ぐことができた。大会運営の戸張捷ゼネラルプロデューサーは、「これほど気まぐれな台風はないので、イレギュラーだったと思う。トーナメント運営歴50年で、初めての経験です」と、胸の内を明かした。

「コースがよく持ちこたえたと思うし、コース管理の皆さんを抱きしめてやりたい。心からお礼を申し上げたいと思います」と、労いの言葉をかけた。(文・神吉孝昌)

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