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渋野日向子以来となる記録も “タイガー超え”とも言われる若き才能が72年ぶり大偉業へ

恐るべき才能…ローズ・チャンは、歴史にいきなりその名を刻むことになるかもしれない(撮影:GettyImages)

<ミズホ・アメリカズオープン 3日目◇3日◇リバティ・ナショナルGC(米ニュージャージー州)◇6656ヤード・パー7>

アマチュアゴルフ界で数々の記録を塗り替え、5月末にプロ転向を宣言したローズ・チャン(米国)。今大会がプロデビュー戦となったが、いきなりその高すぎる実力を証明している。3日目を終えてトータル11アンダーの単独トップに浮上。5月24日に20歳の誕生日を迎えたばかりの逸材が、前評判通りのゴルフを続けている。

4位からスタートした3日目は6つのバーディを奪い、ボギーはなしという会心のゴルフ。「最高よ。きょうは風が少し強くなっていて、方向も変わっていたなかプレーが難しくなっていた。そこでひとつひとつのショットに集中していたし、そのおかげでベストスコアを出すことができたと思う」。クレバーなプレーは、とてもほんの少し前までアマチュアゴルファーだったとは思えない完成したものだった。

カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のアーケディア出身のチャンは、2020年に「全米女子アマチュア選手権」を制し、世界アマチュアNo.1に就いた。アマチュア最高賞のひとつ『マコーマックメダル』を同年から3年連続で受賞し、スタンフォード大の先輩でもあるタイガー・ウッズ(米国)を超える才能とも言われてきた。今年4月の「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権」ではプレーオフを制して優勝。NCAAの個人タイトルを2年連続で勝利するなど、満を持してのプロ転向となった。

そして今年が初開催となるこのトーナメントは、とても縁深い試合でもある。大会ホストを務めるミシェル・ウィー・ウェスト(米国)も、スタンフォード大の先輩。「彼女は素晴らしいアドバイスもくれたし、この試合を開催してくれたことにとても感謝している。すべての瞬間を楽しむことができている」と、“恩返し”の気持ちもこめてプレーしている。さらに決勝ラウンドはアマチュア選手と一緒に回るのも大きな特徴だが、参加選手には当然ながら知っている顔も多い。「おかげで100%快適に過ごせているの。中断した時も、外に出て友人たちと楽しい時間を過ごすことができた」。ホームともいえる環境も、ノビノビとしたプレーを支える大事な要素になっている。

もし米国女子ツアー初出場初優勝となると、19年「全英AIG女子オープン」を制した渋野日向子以来の快挙となる。記録が残る1992年以降では渋野、カリー・ウェブ(オーストラリア)ら7人が達成しているが、その選手たちはいずれも米国以外でプロとしてのキャリアを積んでいる。そのため純粋なプロデビュー戦Vになると、1951年の「イースタンオープン」を制したビバリー・ハンソン(米国)までさかのぼることに。実に72年ぶりの偉業がかかっていることになる。ちなみにスポンサー推薦での優勝もツアー史上4人目という珍しさだ。

「以前もこのポジション(1位)にいたことはあるけど、プロとしては初めてのこと。できる限りのことを学んでいるところ。明日は、プロの世界で最終組にいることを理解し、自分の道を切り開いていくことになる。もっと自分のキャラクターを作り上げたいわ」。あす、名刺がわりに、とんでもなくド派手な挨拶をすることになるかもしれない。

【米国女子ツアー公式戦初出場初優勝】※1992年以降
コ・ウソン 1994年「東レ・ジャパンクイーンズカップ」
カリー・ウェブ 1995年「全英ウィータビックス女子オープン」 
アン・シヒョン 2003年「CJナインブリッジクラシック」
イ・ジヨン 2005年「CJナインブリッジクラシック」
ホン・ジンジュ 2006年「コロンハナバンク選手権」
ペク・キュジョン 2014年「LPGA KEBハナ銀行選手権」
渋野日向子 2019年「全英AIG女子オープン」

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