台湾から来て3年「日本はみんな優しいしすごく好き」 21歳が初優勝で“想定外の涙”

台湾から来て3年。21歳にとってはまさかの涙だった(撮影:鈴木祥)

<大王製紙エリエールレディス 最終日◇23日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6595ヤード・パー71>

2022年のプロテストに合格し、翌年から日本ツアーに参戦してから3年。台湾出身の21歳、ウー・チャイェンがツアー初優勝を挙げた。ラウンド後には涙が止まらない。慣れない異国のツアーで、大きな実りを手にした。

2位に2打リードの首位から出た最終日。前半は1つ落とす展開だったが、10番からの3連続バーディなど、サンデーバックナインで5つ伸ばして逃げ切った。新女王になった佐久間朱莉に3打差をつける圧勝。「そんなに長かったとは思ってないですね。難しいのも知ってますし、長くなかったです」。ここまでの道のりを振り返る。

優勝インタビューなども、すっかり慣れた日本語で受け答え。「レギュラーツアーで初優勝することができて、とてもうれしいです。これからも優勝を目指して頑張ります」など、自分の言葉でファンらに心境を伝えた。台湾にいたころは、日本語とは無縁の生活。「最初はオンラインの先生がいて、日本に来て、選手の友達やキャディさんらと話して、たくさん教えてもらいました」。コースで身につけた言葉だ。

プロ1年目から下部のステップ・アップ・ツアーで3勝を挙げ賞金ランク1位に輝いた。その権利で24年からレギュラーツアーに本格参戦すると、メルセデス・ランキング32位になり初シードを手にした。日本での生活でホームシックも「あります」という。だが「日本はもともとすごく好き。楽しんでいますね」というのが原動力にある。「食べ物と、みんな優しいので、すごく好き」。寿司が大好物で、現在はまぐろにハマっていることも明かす。

優勝の瞬間については、こう振り返る。「他の選手が優勝の時に泣くのを見て、自分は絶対に泣かないだろうと思っていました。なんで泣くのかなって、何回もイメージして、ずっと考えてました。(ウィニングパットが)入った瞬間はまだ泣く気持ちはなかったけど、キャディさんと目が合ったら、涙が出てきて。なんで泣いてるんだろうって。自分でもびっくりしましたね」。クールなプレーぶりは確かに、この21歳の特徴。だが、優勝の喜びは、まさに想像を超えるものだった。

母国の大学にも通っており、現在4年生。日台を股にかける生活だ。そのなかで一番の目標には「日本の女王になること」を掲げる。師匠は日本ツアーで7度の賞金女王に輝いた母国のレジェンド、ト阿玉。ツアー記録となる今季12人目の初優勝者は、大好きな日本で、師弟そろって女王になることを目指していく。