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ウッド系6本にアイアンは7番から やさしさを追求する片山晋呉の14本は女子プロみたい!?

片山晋呉のアイアンは7番から(提供:PGA)

前週の「すまいーだカップ」でシニアツアー初優勝を挙げた片山晋呉。そのクラブセッティングを見てみると、ウッド3本、UT3本、アイアンは7番からで、PWと55度のウェッジの間には49度のAWも入っている。一見すると飛ばない女子プロのようなクラブ構成だが、男子プロの多くが3番アイアンを入れていた2000年代から、片山は5番アイアンを抜くなど、アマチュアのお手本となるようなやさしいセッティングを好んできた。

■1Wのシャフトは“軽硬”で「速く振れる」

クラブ契約がフリーの片山は、昨年まで様々なドライバーを試合で使ってきたが、今年は『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX』をメインに戦っている。片山は「曲がらないし、トータルがいい」と、中弾道の強い球で今大会でのフェアウェイキープ率も高かった。

『パラダイム Ai SMOKEシリーズ』のドライバーには6種類のヘッドがあり、その中で『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX』はどんな特徴があるのか。キャロウェイのツアー担当、石井尚氏は「スピンが少なく左に行きにくい『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ 』の尖っている部分を少しやさしくしたモデルです。プロたちの意見を取り入れて、少しスピンが入ってつかまりやすくなっています。弾きすぎずにフェースに乗る感じもある」と教えてくれた。片山以外ではLIVゴルフで戦う香妻陣一朗や、飛ばし屋の清水大成も愛用している。

特筆すべきはドライバーのシャフトで、軽くて硬い『SPEEDER NX GREEN 50-TX』を46インチで挿している。TXはダブルエックス相当の硬さで、50グラム台のTXは市販品にはないツアーだけに支給されるプロトタイプだ。

「軽硬は速く振れる。本当は40グラムのTXを使いたいけど、NX GREENだとないんだよね」と片山。フジクラのツアー担当、飯田浩治氏は「片山プロの薦めで他のプロも試したりすることがありますが、ほぼ片山プロしか使っていないモデルです。軽硬の特徴としてはスイング中にヘッドの位置が分かりやすく、時差なく溜まらずに下ろせます。軽くすると硬く作りにくいので、現状ではこれ以上軽くするのは難しいですね」と話す。

片山は昔から『スピーダーシリーズ』を愛用しており、昨年は『SPEEDER NX BLACK 50-TX』を試したり、『VENTUS BLACK 5S』を試合で使ったりもしていた。「去年からほとんどNX GREENですね。NX BLACKに比べると低く強い球になり、VENTUS BLACKよりは高く上がります」(飯田氏)。『SPEEDER NX GREEN』は真ん中の弾道になるようだ。ちなみに、3番ウッドの『SPEEDER NX GREEN 60-X』は市販されているが、その下に入れている7番ウッドの『SPEEDER NX GREEN 90-X』は市販されていない。

3番ウッドに関してはアジャスタブルホーゼルで15度のロフトを1度寝かせて使っている。キャロウェイの石井氏によると「片山プロはキャリーが出ないのが嫌いなので、3番ウッドはロフトを寝かせてやさしくしています」という。

■大会ではUTを1本増、ウェッジを1本減

また、片山によると「すまいーだカップ」の1週前に出場したレギュラーツアー「ミズノオープン」からセッティングをガラリと入れ替えたという。「ミズノの時は1W、3W、7W、4U、6Uだったのを、すまいーだのパー3で使うために(2本のユーティリティの間に)5Uを入れたんです。それでウェッジを1本減らしました。48度(AW)、51度、55度、60度だったのを、51度を抜きました」。

3本のユーティリティを見てみると、4Uと6Uはいかにも使い込んだ感じだが、5Uはソールもフェースもきれいなまま。いずれもピン製で、片山は『G425』が出た4年前から、ピンのユーティリティを好んで使い続けている。

片山のバッグには51度表記の『ZX7 MkII』のAWが入っているが、実際のロフトは49度。「距離感が合わないから」と、初日が終わった後に会場近くのショップに行って、48度だったロフトを1度寝かせた。それに対し、60度表記の『ハイ・トウ3』は「アイアンのロフトのぶん、詰まってきちゃったから」と、59.5度にロフトを少し立てている。

そして、女子プロでの使用率は高いものの男子ではそれほどというのが、アイアンのシャフト、カーボン繊維とスチール繊維を組み合わせた『スチールファイバー i 110cw』だ。「本当はカーボンを使いたいけど、いいのがなくて……。ユーティリティに挿れているヨネックスのカーボンシャフトがめちゃくちゃ好きで、本当は同じ流れでアイアンも使いたい」と片山はいう。ユーティリティのシャフトはヨネックスの『EXIS Steel Core i100X』で、気に入っているのは「感触がやわらかくて手に来なくていい。マイルドでバンッと来たときにケガしない」ところだ。

■米国から取り寄せたパターはトルクがゼロ!?

ヘッドがハート型の長尺パターはアダム・スコット(オーストラリア)も使うL.A.B. GOLFのもの。片山はフィッティングして米国から取り寄せている。「(L.A.B. GOLFのパターは) 5年前から使っていますね。トルクがなくて捻れない。あの動画を見ると欲しくなって買いました。PGAツアーでも使用率が上がっています。今までのパターにない不思議な動きで、初めて使う人は『何この動き?』っていうよね。ラインにボールを乗せられるからすごい良くなった」と、気に入っている。

L.A.B. GOLFのパターは『ライ角バランス』をうたっており、公式ホームページの動画では、トゥヒールバランスやフェースバランスのパターを特殊な器具に装着してストロークするとヘッドがクルクルと回るのに対し、L.A.B. GOLFのパターはトルクがかからないため、ヘッドが回らずに振れると紹介している。日本人では片山の他に星野陸也が朝の練習グリーンでL.A.B. GOLFのパターを使う。

毎週毎週、コースに合わせてスタメンクラブを選んでいる片山に、同じクラブセッティングで戦った試合は?と質問すると「ないですね」と即答。続けて「(前に)優勝したときのクラブがないんですから、何でもすぐ人にあげちゃう。だからベースがないんです」と笑う。今週はレギュラーツアーのメジャー「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」に出場するが、「アイアンは全部替えます(笑)」と宣言。どうやらまた新しいシャフトが出来上がっているようだ。

【片山晋呉の優勝クラブセッティング】
1W:キャロウェイ パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX(9度、46インチ/SPEEDER NX GREEN 50-TX)
3W:キャロウェイ パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆(16度/SPEEDER NX GREEN 60-X)
7W:キャロウェイ パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆(20度/SPEEDER NX GREEN 90-X)
4,5U:ピン G430(23度,27.5度/ヨネックス REXIS Steel Core i100X)
6U:ピン G425(30度/ヨネックス REXIS Steel Core i100X)
7I~PW:スリクソン ZX5 MkII(スチールファイバー i 110cw S)
AW(49.5度):スリクソン ZX7 MkII(51度/スチールファイバー i 110cw S)
55度:タイトリスト SM10(54-10S/スチールファイバー i 110cw S)
59.5度:テーラーメイド ハイ・トウ3(60度/DG EX TOUR ISSUE S300)
PT:L.A.B. GOLF DIRECTED FORCE 2.1 プロトタイプ(TPT PURE PRECISION)
BALL:タイトリスト PRO V1

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