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体調回復も、今度は“突き指”→ぶっつけ本番 復活目指す池田勇太を襲う不運

池田勇太が今季最高位で最終日を戦う(撮影:岩本芳弘)

<パナソニックオープン 3日目◇23日◇小野東洋ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7113ヤード・パー72>

ツアー通算21勝を誇る池田勇太が初日から3日間連続で「69」を並べ、トータル9アンダー・13位タイで3日目を終え、じりじりと順位を上げてきた。2019年5月以来、優勝から遠ざかっている池田。現在の賞金ランキングは99位。賞金シード陥落の危機を迎えているだけに、ここからの巻き返しが必要な状況で今季初のトップ10も見える位置に浮上した。

3日目は5バーディ・2ボギーのラウンド。最終18番では1メートルのパーパットを外してボギーを叩いたことに「意味がない」とした池田だったが、体調面では「原因(顎偏位症・がくへんいしょう)が自分の中で見つかって、治療したり手術したりして良くはなりました」と、やっと回復の目途が立ったことを明かす。「ホントに少しずつですけど前進はしていると思う」という言葉通り、ここ5試合で予選通過3試合と結果にも表れはじめている。

手術と治療による効果は実感。「良くはなりました。からだ自体は良くはなってますけど、感覚(ゴルフの)がまったく出ないんで。それが今年のゴルフにつながっているかなと思います」。本人にしかわからない、微妙な感性、フィーリングが戻らないという。高度に研ぎ澄まされたプロの感覚は、ほんの少しズレただけでまったくパフォーマンスが出せなくなる。一般人には想像すらできない世界だが、これはゴルフに限ったことではなく、多くのトップアスリートが経験する苦悩だ。

そんな状況の池田だが、追い打ちをかけるような出来事が先週起こっていた。「全日空のとき、ちょうど2日目に、雨の後でああいう状態だったので、クラブが刺さって突き指したんです。3日目、4日目も無理やりやりましたけど、全然ゴルフにならなくて…」とまともにグリップできないような状態だったという。

先週の「ANAオープン」は天候不良・降雨の影響により初日が順延、さらに2日目はその影響で日没サスペンデッドになるほどの状況だった。雨の影響でやわらかくなった地面にクラブヘッドが深く入ってしまい、突き指したのは右手の中指と薬指。そのショット時には「手が離れなかったですね」と痛みが体を突き抜けた。「はい、相当腫れました。その後打てなかったです。でも無理やりプレーしました。普通の試合だったら棄権してますよ」というように、池田にとって思い入れのある試合では棄権するわけにもいかず、最後まで完走した。

「今週も出るか出ないかわからなくて、木曜日の朝に直接ここにきて少し打ってできそうだったのでとりあえず出てますけど、まぁまだ完全ではない」。まさかのぶっつけ本番だったことを明かした。右手は「ただ添えてるだけ」のスイングを余儀なくされ、軽めに打つしかない。痛みについては「逆にショットなんかはまだ勢いがあるんでいいんですけど、パターとかそういうのがいちばん痛いです」。最終日は「うまく大人しくやりながらっていう感じですね。この後もアイシングして、治療も電気と針と入れます」と、練習もなしで早々にコースを後にした。まずは最後の18ホールを完走、そしていまできる精いっぱいの力を振り絞る。(文・土屋裕一)

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