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かつての“野球少女”が決勝へ 高3・福田萌維は憧れ「ふうか先輩」の背中追う

小学生時代は野球に没頭。宮崎出身の福田萌維(撮影:佐々木啓)

<日本女子オープン 2日目◇27日◇大利根カントリー倶楽部(茨城県)◇6845ヤード・パー72>

珍しい経歴を持つ現役高校生が、初出場ながら決勝進出を決めた。初日に1アンダーの好発進を決めた18歳・福田萌維(ふくだ・めい)だ。2日目は2バーディ・4ボギーの「74」で回り、トータル1オーバーで予選通過ラインを突破した。

スタートホールの1番はボギー。その後は4番で取り返すと、前半上がり9番でもバーディを奪って1アンダーで折り返した。だが「きのうと比べるとパッティングが良くなかった。スコアを伸ばせなかった要因」とグリーン上で苦しみ、バックナインはバーディなしの3ボギー。少々の悔しさは残るが、目標としていた予選通過はクリアした。

そんな福田だが、日本ゴルフ協会(JGA)のホームページに掲載されているプロフィールを見ると、気になる項目がある。『少年野球の監督の薦め』。ゴルフを始めた動機の欄に記載されていたが、詳しく話を聞いてみた。

「小学1年生から6年生まで少年野球をしていました。監督が地元のゴルフ連盟の方で、声をかけてくださって始めました」

地元・和歌山県岩出市の少年野球チームに所属。男子と一緒に練習し、試合にも参加していたという。ポジションは外野手。守備の要であるセンターを担った。

9歳からバットとゴルフクラブの“二刀流”に。本格的にゴルフに打ち込み始めたのは中学1年からで、陸上部にも所属してスポーツに打ち込む日々を送る。野球、陸上で鍛えられた体幹をゴルフにも生かした。高校は宮崎県の名門・日章学園に進学したが、これがゴルフ人生の転機となった。1学年先輩にトップアマの荒木優奈、そして昨年プロテスト合格の菅楓華(すが・ふうか)がいたからだ。

「高校1年生の時から、一番仲が良いふたりです。卒業してからもラウンドに行きます」と、憧れの先輩とともに腕を磨いた。2022年からは「全国高等学校ゴルフ選手権」の団体戦で連覇を達成。ふたりがゴルフ部を引退してからは、キャプテンとしてチームを引っ張った。

目標とする選手は、やはり「楓華さん」。ゴルフの技術もさることながら、「高校の時からファンがすごく多い方。ゴルフももちろん上手なんですけど、応援されるような人間性。それを特に見習っています」。ルーキーとしてプロツアーで活躍する先輩は、今でも良きお手本だ。

今年はプロテストに初挑戦。1次、2次を順調に突破し、1カ月後の最終プロテストに駒を進めた。予選会を突破して出場した今大会の予選ラウンドでは、同じく最終テストに進出した横山珠々奈、久世夏乃香と回った。さながら最終プロテストの“前哨戦”となったが、3人のうち福田のみが予選を突破。「(最終テストと同じ)4日間という競技を経験したかった。アマチュアの中でも上位に行きたい」と決勝ラウンドへ意気込む。

残念ながら先輩の菅は日本女子オープンへの出場権を得られなかった。「『ずっと見ているから』って応援してもらっています。プロテストへの自信につながるように、決勝をアンダーで回りたいです」。憧れの先輩も背中を押してくれている。トップ選手たちがしのぎを削る週末。18歳が“一球入魂”で挑む。(文・牧野名雄)

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