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ツアー本格参戦2年目にして、岩井明愛は生涯獲得賞金1億円超え! その背中を押す申ジエの懐の深さに感動

申ジエ(手前)と岩井明愛のがっつりハグ。互いへの想いをあふれさせた(撮影:鈴木祥)

 <アース・モンダミンカップ 最終日◇25日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6650 ヤード・パー72>

賞金総額3億円、優勝賞金5400万円のビッグトーナメント「アース・モンダミンカップ」は、申ジエ(韓国)が岩井明愛をプレーオフで下し、元世界女王の貫禄を見せて終わった。ジエはこれで日本ツアー通算28勝(メンバー登録前の勝利除く)、永久シード獲得まであと2勝となった。

今季ツアー最高の高額賞金大会は、敗れて2位となった岩井も2640万円という大金をゲット。これで岩井の生涯獲得賞金は、ツアー本格参戦2年目にして1億円超え(1億2163万1178円)となった。双子の妹・千怜も今大会終了時点で1億4440万9288円の賞金を獲得しているので、姉妹ふたりでの3億円突破は目前だ。

最終日に首位タイからスタートした岩井は、11番までに4つのバーディを奪取。後続を突き放しそのまま逃げ切るかと思われたが、15、16番で痛恨の連続ボギー。この時点で、この日ボギーなしで4つのバーディを獲ったジエが単独首位に立った。だが、17番で岩井が意地のバーディを獲ってふたりが並び、プレーオフに突入した。

そして1ホール目をバーディとしたジエに軍配。岩井にとって自身2度目のプレーオフはまたも負けに終わり、今季2勝目は叶わなかった。

勝負が決まった後にジエと抱き合っていたことを聞かれた岩井は「悔しいのひと言に尽きます。でも今日は全部出し切りました」と話すと、2分ほど口を真一文字に締めてじっと前を向いた。静かにあふれ出る涙をこらえていたのだ。

それは悔しさだけの涙ではなかった。実は「ジエさんにはいろいろ悩みを聞いてもらっていたんです。頼れるし、信頼できる先輩なので、悔しい気持ちはあるけどジエさんが勝ってうれしい感情もあります」と複雑な心のうちを吐露した。

それに対してジエも、「最近、よく一緒に練習ラウンドをする機会があり、明愛選手のいいプレーをたくさん見ました。今も素晴らしいですが、これからが楽しみな選手だと思います」と評する。続けて「明愛選手は強くなっても、人として変わらないように見えます。ちゃんと自分の道を進んでゆくでしょう」と岩井の今後にも期待を寄せている。

そして、さらに付け加える。「でもゴルフは、さみしいスポーツだと思うんですよ。もちろんファンやチームスタッフやスポンサーとか、周囲には大勢の人たちがいて応援してくれていますが、プレー中は選択する責任は自分にあってひとりじゃないですか。少し先を私が行っているぶん、この道には私もいるよって感じです」と、岩井に対する気持ちを明かした。

岩井がどんな悩みを打ち明けたのか、ジエがそれにどう答えたのか、具体的なことは教えてもらえなかったが、ジエは惜しみなく技術を伝えただろうし、人としての成長がゴルフにとって大事なことだと教えたに違いない。岩井がジエを尊敬し慕う気持ちと、国という出自を超えて若手を見守るジエの懐の深さとやさしさが伝わってくるエピソードだった。

ジエが言うように岩井は間違いなくもっと強くなるだろうし、ジエはこれからもまだまだ大きな存在として、若手選手の先を歩んでいくだろう。(文・河合昌浩)

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