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「首が焼けなくて涼しい」バケットハットが男子ツアーで急増中! 最初にかぶり始めたのは…

今週も“ハット”スタイルで挑む石川遼。左はミズノ契約の小鯛竜也(撮影:ALBA)

<Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 事前情報◇23日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7216ヤード・パー72>

今年の夏は地球全体が異常に暑い。国内男子ツアーが行われる福岡でも連日30度を超える戦いが予想されている。その練習日では、360度のツバがついた“バケットハット”をかぶるプロが急増していた。

今週からバケットハットを投入したのはタイトリストとミズノ。タイトリストは契約プロの幡地隆寛、貞方章男らを含め、レップ(現場担当者)も全員バケットハットを着用していた。ミズノと契約する平田憲聖や小鯛竜也も、おろしたてのバケットハットをかぶっていた。

幡地は「ずっと欲しかったんですよ。レップの方がPGAツアーでもらってきて、僕も欲しいと思っていた。後ろ(首)が隠れるので全然違いますね」というと、貞方も「涼しいしムレないし、首が焼けない」とお気に入り。バケットハット姿が新鮮だった平田も「首に日が当たらなくていいですね」とメリットを挙げていた。

普段はバイザーを着用している小鯛も「バイザーのほうが風が通って涼しいけど、頭の上と首の暑さが違います」。やはり強い日差しをカットできることが熱中症対策に効果を発揮しそうだ。

そんなバケットハットだが、デメリットもある。幡地と平田は「フィニッシュでクラブが(ツバに)当たる」という理由で、試合本番ではキャップに戻す予定だ。それに対し貞方は「まったく当たらない」と試合での着用を示唆。さらに、プレーや日差しとは関係ないが「人の声がよく響く」という副産物もある。

バケットハットといえば、石川遼が夏場にかぶっているイメージが強いが、実は4年前から着用している男がいる。中西直人は自身がプロデュースするゴルフウェアブランド『SANRISE』で、早くからバケットハットやマウンテンハットを取り入れているのだ。

「最初か? と聞かれたら間違いなく最初。バケットハットを男子ツアーで流行らせたのは僕で間違いない」と、ドヤ顔の中西。きっかけは「うちの娘に日焼けしないようにアウトドアブランドのバケットハットをかぶらせていたんです。それから僕もかぶろうと思って。それが最初です」という。

2019年に中西がバケットハットをかぶって試合に出場したとき、周りの反応は『ダサい』とバッサリ。それでも中西はくじけずに「このダサいやつをいかにカッコよく着こなしてやろうか」と、夏場に限らず一年を通してかぶり続けて、完全にバケットハットは中西の代名詞となった。そして、今ではダサいと言われることはなくなった。

「首が焼けないので疲れないです。これをかぶったら他のをかぶれないくらい楽なんです」と中西もやはり日差しを防げるところにメリットを感じているが、スイングの邪魔にはならないのだろうか。

「僕は調子が悪いときには(ツバに)当たる。調子がいいときには当たらないんです」とスイングのバロメーターにしている。それでも、シャフトがツバに当たってもいいように、素材はやわらかいものにこだわっている。夏はメッシュ素材のものを採用。デメリットに感じているのは強風のときだけ。ツバが広いため影響を受けやすいのだ。

男子ツアーでのバケットハットの始まりは中西で決まり。と思っていたら、石川遼の見解はちょっと違う。「このタイプではなくて、もうちょっと(ツバが)小さいやつは6、7年前の秋にかぶったことがありました。そのときはアメリカのストリート系でバケットが流行っていて、僕はアメリカにいたときに買って、『これでゴルフをやりたいな』と言ったら、キャロウェイさんが作ってくれたんです」。

その後、「形について僕は何も言っていなくて、とにかく直接首に日が当たらないほうがいいのかなと。自分なりの感覚があってかぶっています」と現在の形にいたる。

さらに、石川にもスイング中に気にならないかと聞いてみると、「(ツバに)当たったなと思うときはあるんですけど、気にならないですね。そこでショットが影響して、ちょっと抑えちゃう(フィニッシュを小さくする)みたいなところまではいってない」と笑う。「セミタイみたいに、フィニッシュでサングラスが吹っ飛ぶか、コースメモが吹っ飛ぶか。そのくらいだったら。気になるかもしれないです(笑)」と、昨年に大ブレークを果たしたワンダーボーイ・蝉川泰果のマン振りをいじった。

そして、自らウェアをプロデュースする男子ツアー界の人気者へのフォローも忘れない。「中西さんのような、ゴルフのアパレルに新しい風を吹き込んでいくのが大好き。ゴルフをすごく広い視野で楽しんでいるのが素晴らしいと思っています」。

最初は奇異の目で見られていたバケットハットは、中西直人や石川遼が着用したことで、もはや熱中症対策だけでなく、オシャレアイテムのひとつになりつつある。(文・下村耕平)

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