
2017年以来、さまざまなモーターショーで話題になった往年のワーゲンバスをモチーフにした電気自動車、IDバズ。2025年には待望の市販化がされ、ファニーなデザインだけでなく、電気自動車のミニバンというコンセプトにも注目が集まる。ただのイロモノなのか、使えるミニバンなのか。その実力を探ってみた!
■懐かしいデザインだけど、快適さは最新ミニバン
見た目は1950年に登場したタイプ2と呼ばれるワーゲンバスをモチーフにしたもので、フロントの巨大なVWマークなどが個性的。おとぼけ顔なのも愛着が湧いてくる。実際、町中でも注目度はかなり高く、こちらを凝視する人がかなり多かった。
中身のキャラというか出来については、いわゆるミニバンだ。ショートホイールベースとロングホイールベースの2タイプが用意されていて、どちらも3列シートとしながら、2列目が前者はキャプテンシート(2人がけ)、後者がベンチシート(3人がけ)。定員はそれぞれ6人と7人となる。
車内の雰囲気は外観の持つ往年感はなく、質のいい最新のミニバンと言っていい。言葉にするとチグハグな印象を受けるかもしれないが、実車に乗ってみると快適で個性的なミニバンで満足度は高い。このミスマッチ的なキャラの違いがIDバズの魅力だろう。ちなみに車名がバスではなく、バズなのは「バズる」にかけているとのことで、遊び心にあふれている。
■乗用車ライクな運転席とくつろげる各シート
海外のミニバンというと、シンプルな機構や実用的な装備で、ミニバン先進国の日本人からすると物足りないことや不満が出ることもあったりする。一方、IDバズはかなり日本のミニバンに近いキャラクターに仕上げられている。
運転席まわりは見た目からして乗用車そのもの。運転姿勢もとても自然で、日本車からの乗り換えでも違和感はないだろう。2、3列目シートも同様で、とくに3列目は簡易的ではなく、ゆったりと座ることができ、長時間の移動も快適だ。
■日本のミニバンもビックリ、驚愕のラゲッジ収納力
ゴルファーとして気になるラゲッジは、シートスペース優先で最小限の容量かと思いきや、全幅1995mmというかなりワイドな車幅が効果を発揮。そのまま横にも積めてしまったのには驚かされた。もちろん3列目を収納すれば広大なスペースが出現するので、気兼ねなく自由自在にバッグを積むことができる。
また、ロングボディに標準装備されるマルチフレックスボードのおかげで、フロアは2段になるので下にバッグやシューズを入れることもできる。その気になれば5人でゆったりとゴルフ場に向かうことが可能だ。
■ゆったりとクルージング、その気になれば爽快加速!
冒頭で紹介したように、IDバズは純粋な電気自動車だけに、走行時はとても静か。後輪駆動なので後ろから力強く押してくれるのも走りの質を高めているポイントで、運転自体は日本車からの乗り換えでも違和感なくできるだろう。流れのいい幹線道路や高速道路をゆったりと流すのは、往年のVWバスと共通する味わいだ。
ただ、全幅1995mmという幅広さ、全長はロングホイールベースでは4995mmもあるので、取り回しには気を使う場面も出てくるのは事実。ノーマルホイールベースも全幅は同じで、全長は少しだけ短い4715mmなので、購入検討の際には試乗も含めてしっかりとチェックしておきたい。もちろんこの立派な体躯のおかげで、ゆったりとした走りや広大な車内を実現しているので、一概にダメというわけではないのであしからず。あとは1000万円弱という価格をどう受け取るかだろう。
VOLKSWAGEN ID.Buzz Pro Long Wheelbase
◆全長_全幅_全高:4965×1985×1925mm ◆車両重量:2720kg ◆モーター種類:交流同期電動機 ◆最高出力:210kW(286ps)/3581-6500rpm ◆最大トルク:560N・m(57.1kg-m)/0-3581rpm ◆ミッション:─ ◆WLTCモード一充電走行距離:554km ◆定員:7人 ◆価格:997.9万円
写真・文/近藤暁史【MUSHROOM】
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