フィル・ミケルソンはどうしてLIV移籍してもファンから愛され続けている?
4月11日(木)からオーガスタナショナルGC(米国・ジョージア州)で、「マスターズ(昨年大会)」が始まる。2023年、LIVゴルフへ移籍してから初めての出場となった「マスターズ」で堂々たるプレーを見せ、最終日の18番では大歓声が上がったフィル・ミケルソン(米国)。移籍してもなお愛されるのはなぜなのか?
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トーナメント会場でのプロアマ後、フィル・ミケルソンが絶対に欠かさなかったことがある。集まったファン全員にサインをすることだ。プロデビューからずっと続けており「ほぼ毎回『500人』以上のサインをし続けた」と本人は言う。
アマチュアでPGAツアーを制し、1992年にプロ転向したミケルソンは、あっという間にツアーで大人気となった。4年後にタイガー・ウッズ(米国)がプロ入りしてスーパースターとなっていったが、ミケルソンの人気も負けてはいない。試合中に大ギャラリーを引き連れるのはいつも二人だった。
どうしてそんなにミケルソンが人気なのか? サインをするときの様子を見ていると、ナルホドと思うところがある。ミケルソンが1つのサインにかける時間は「約5~7秒」と、他の選手より長い。約1時間で500人を超える。さらに、「フィル!」と叫ぶ子どもたちに話しかけ、大人から何か質問されると時にジョークで返したりもする。「いつも黒のウェア?」、「そう、ぼくは太っているからね」と。
これは故・アーノルド・パーマーから受け継いだものだという。「プロになりたての頃、アーニー(パーマー)がサインをしているところを見たんだ。一人一人に時間を割くアーニーにファンがどれほど感謝しているかよく分かった。こういう選手になろうと決めたんだ」という。
2022年からLIVゴルフでプレーをし、メジャーを除いてはPGAツアーで姿を見られなくなった。しかも22年はPGAツアーを批判したことで渦中の人となりマスターズを自主欠場。23年、2年ぶりのマスターズ出場となったが、初日の1番ティにミケルソンが姿を見せるとパトロンに微妙な空気が流れ、かつて聞かれた大歓声は上がらなかった。
しかし最終日の18番グリーンでバーディパットを沈めたミケルソンは力強くガッツポーズ、堂々の2位に入るとパトロンは総立ちで大歓声を送り、再び「フィル!」のコールが起きた。
長年ファンを大切にしてきたミケルソンに感謝の声援、LIVゴルフに行った今もミケルソン人気が不滅の理由なのだろう。(文・武川玲子=米国在住)
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