2週連続惜敗 中島啓太は金谷拓実の17番バーディに脱帽「魂のこもったボールだった」
<BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 最終日◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇7430ヤード・パー71>
前週は同い年の平田憲聖にプレーオフで敗れた中島啓太。今週も最終日最終組を回り、15番ホール終了時点でトータル10アンダー・トップタイと優勝争いを演じていた。しかし、直後の16番で3パットのボギーを叩いて、またしても2位に甘んじた。取材エリアに現れると、「…悔しいですね」と目を潤ませながら唇をかんだ。
きょうは朝6時25分から前日に消化できなかった第3ラウンドの8ホールをプレーし、その数時間後には首位の金谷拓実との3打差を追う最終ラウンドに突入した。宍戸ヒルズCCは6番までに伸ばすのが鉄則。伸ばしあぐねる金谷を横に見ながら、2番、5番、6番とバーディを重ねて、1打差まで迫った。
しかし、池越えの実測164ヤードの7番ではティショットがグリーンに届かず、アプローチを1.3メートルに寄せるも、これが入らずボギー。9番、10番ではそれまで安定していたティショットが左に飛んで連続ボギーで落とした。「途中で流れを崩してしまった。3ボギーが悔しいですね」と悔やんだ。
金谷が13番、15番と落とし、中島が14番、15番でバーディを獲ったことで初めてトップに並び、再び中島に風が吹き始める。迎えた実測181ヤード16番パー3。中島のティショットは、左ピンのある狭いエリアにわずかに嫌われ、右奥に流れていった。「8番アイアンで打ったんですけど、風のタイミングとか自分では管理できないような感じではあった。自分としてはいいショットを打ちました」と振り返る。
中島が乗ったところからは段を境に“くの字”に下っていく寄せるのが難しいライン。それを何とか1.5メートルにもっていったが、パーパットがカップに嫌われ、わずか1ホールで1打ビハインドとなった。
続く17番パー4はパーを獲ることさえ難しい宍戸の最難関ホール。ここで右のラフから池越えのセカンドショットを打った金谷が、ピンそば50センチにつけるミラクルショットを披露した。そこで差は2ストロークに開き、そのまま逃げ切りを許した。
「あれはスーパーショットでしたし、魂のこもったボールに見えました」とアマチュア時代からその背中を追ってきた2つ先輩のプレーに脱帽。「あそこにつけてバーディを獲った金谷さんを称えたいと思います」と話した。
21年にアマチュア優勝を成し遂げた。昨年10月にプロ転向してから、優勝が近そうで遠い。「優勝争いを何十回も続けていけば、いつか必ず勝てると思います。今週は天気も悪くてサスペンデッドになって、そのなかでも気持ちを切らさずにプレーできた3人が最終組に入ったと思う。気持ちの強さは自分でも誇りに思いたい。今週一番いいプレーをしたのが金谷さんだった。僕が一番いいプレーをして優勝する日を想像しながらトレーニングしたいなと思います」。この悔しさバネに、きょうよりもっと強い自分を目指す。(文・下村耕平)
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