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山下美夢有の“3季連続女王”獲得なるか? 新しいヒロインへの期待も… 2024年女子ツアーの新春予想【原田香里ゴルフ未来会議】

2季連続、賞金女王に輝いた山下美夢有(撮影:福田文平)

ゴルフを愛するみなさん、あけましておめでとうございます。原田香里です。みなさんはどんな年末年始をお過ごしでしたか? 日頃の忙しさから解放されてゆっくりされた方、ずっとお仕事だった方、ゴルフ三昧だった方、日頃はなかなか会えないご家族や友人と会えた方、みなさまそれぞれの新年を迎えられたことと思います。

旧年中はご愛読ありがとうございました。本年もさまざまなゴルフを通しての“気づき”を書いていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

新年になると早いもので、国内女子ツアーの開幕までもう2か月しかありません。昨年11月末まで試合に明け暮れ、その後も12月中は仕事をしていた選手たちは、新たな目標を掲げてすでに始動している人が多いと思います。そんな選手たちは、2024年シーズンにどのようなプレーを見せてくれるのでしょうか。これからのオフトレーニング次第という部分もありますが、今のうちに少し予想してみましょう。

だれもが最初に考えるのが、山下美夢有さんの“3季連続女王”はあるのかどうか、ということでしょう。昨年は、途中海外遠征でさまざまなことにトライしたことで不調に陥り、苦戦しましたが、そこから立て直して最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」でのタイトル獲得(連覇)は見事なものでした。

今年は昨年以上に海外で結果を残したいという話もしているようなので、そことの兼ね合いにはなると思います。ただ、ベースは日本ツアーなので、出場するのはメジャーが中心になるでしょう。つまり、結果を出せばメルセデス・ランキングのポイントは日本でプレーする以上に大きく手に入ることになります。

昨年同様、世界の選手たちのゴルフを見たり、いつもとはちがう芝、ちがうセッティングを経験することで自分を変えたくなる気持ちが出てくることも十分に考えられます。疲労も、日本だけでプレーしているのとは大きくちがうことでしょう。そのなかで長い目で見てどんなふうに成長していくのかが、カギとなるはずです。

また、結果を出せば自然に周囲の環境も変わってくるでしょう。どれだけストレスなく自分のやりたいことができる環境に身を置き続けることができるかも大切です。すでに2季連続女王の実績があるのですから、周囲は勝手に彼女に期待するでしょう。ただ、山下さんの場合はそれをプレッシャーに感じるよりも、パワーに変えることができているように見受けられます。

いずれにしても、目先のことに一喜一憂することなく、長い目で見てゴルフ人生を組み立てることが大切だと思います。人一倍、ご家族の支えがある選手ですが、それを強みとしてこれまで以上に生かせれば、3季連続で頂点に立つ可能性も十分あります。西郷真央さん、吉田優利さん、稲見萌寧さんの3人が新たに米ツアーに挑むことになりましたが、彼女たちがちがうステージで戦って人生の深みを増してくれるのも楽しみです。それを見て育つジュニアゴルファーにも影響を与えることでしょう。

一方、日本はその3人の実力者が抜けたところに、誰が入って来るのかが楽しみなところです。岩井ツインズ(姉・明愛、妹・千怜)、原英莉花さん、神谷そらさん、櫻井心那さん…。今年好調だったひとたちが、来年もさらにパワーアップしてくるのかどうか。選手の層が厚くなり、毎年新しいヒロインが生まれるのが当たり前になっているなかで、ルーキーの台頭も含めて興味津々です。

若い選手だけではなく、中堅、ベテランの活躍もあったのが23年シーズンでした。なかでも注目したいのが、ツアー通算28勝の申ジエさんが、あと2勝をして永久シード選手となる30勝を達成するかどうかです。堅実なプレーで最終戦まで女王争いを繰り広げた強さが、今年もみられれば、永久シード獲得は時間の問題でしょう。若い選手たちにとっても、大きな壁として立ちはだかる実力者の存在は、ツアーにとってとても大切です。

青木瀬令奈さん、穴井詩さんの中堅2人もしっかりと複数回優勝しています。オンオフの切り替えをしっかりして自分の戦い方がわかっているからこそできることです。常に進化が必要だということがわかっている選手たちですから、今年もじっくり、チャンスを狙ってくることでしょう。

もう一人、個人的にはとても気になっている選手がいます。川岸史果さんです。史果さんのお母さん、麻子さんはキャディをすることも多いですが、ご自身もプロゴルファー。私と大学ゴルフ部の同期でもあります。お父さんの良兼さんもそうなので、史果さんは友人ご夫婦の娘さんということになりますね。飛距離もたっぷりあるポテンシャルの高い選手。昨年、6年ぶりの2勝目を飾ったのですが「もっと勝っていてもいいのでは」と思う選手です。30歳になる24年には、期待を込めて大胆なゴルフでもっと活躍してほしいと心から思っています。

余談ですが、娘さんの試合で忙しい麻子さんは、プロ入り後、早い時期に結婚してお母さんになったのであまりプレーしていないのですが、日本女子アマ優勝経験もある実力者です。実は以前「レジェンズツアーに出ておいでよ」と誘ったことがあります。案外、お母さんのそんな行動も、娘さんの刺激になるのではないでしょうか。

昨年より1試合減ったとはいえ、今年もほぼ毎週、試合が行われる女子ツアー。十分な準備をした選手たちが、素晴らしいプレーを見せてくれるのがいまから楽しみです。

■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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