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「たまっているし開きづらい」 小倉彩愛は“掌屈”で強インパクト!【女子初シードスイング解説】

左手首を手のヒラ側に折る掌屈により、フェースが上を向くシャットになる(撮影:佐々木啓)

ついに23年の国内女子ツアー開幕! 昨シーズン、初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説し、同時に今季の活躍を占う。今回は開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」を31位タイで終えた小倉彩愛のドライバーショットを見ていこう。

◇  ◇  ◇
小倉彩愛(さえ)
2000年9月3日生まれ 22歳 岡山県総社市出身 160センチ
メルセデス・ランキング50位 年間獲得賞金47位(2952万6999円)
22年シーズンの主な成績(KKT杯バンテリンレディス2位タイ、ほけんの窓口レディース5位タイなど)
ドライビングディスタンス41位 238.48ヤード
フェアウェイキープ率49位 67.1621%
◇  ◇  ◇
 
バックスイングを見ていくと、ヘッドが腰の高さに来たときには、ややインサイドに上がっていくように見えるが、「手元とフェースは開いていない。これが彼女の特徴のひとつ」と悪性の動きではない。
 
そしてトップではフェース面が上を向き、シャットに使っている。ここで飯島は20年のマスターズ王者の名前を出す。「左手首の角度が崩れていなくて、ダスティン・ジョンソンのように“掌屈”がすごく上手だと思いました」。ダスティンのスイング特徴でもある“掌屈”とは、左手首を手にヒラ側に折る動き。掌屈することでフェースは開かず、トップで上を向く。反対に左手首を甲側に“背屈”するとフェース面は正面を向いて開いてしまう。
 
それでは掌屈のメリットはどこにあるのだろうか。「たまっているし開きづらいですよね。そのままの角度でインパクトを迎えるので手は返りづらい。逆に手首の角度が逆(背屈)だったら、手を使わないと当たらないです。掌屈は難しいけど手を使わずに安定したショットが打ちやすくなると思います」。手元で調整せずに体の回転で打てるため、再現性がアップするのだ。しかも、「ヘッドが遅れて来て強い角度で当てられる」と飛距離アップも期待できる。
 
石川遼もスイング改造で取り入れた掌屈だが、アマチュアが真似をするのは賛成できないと飯島はいう。「手だけで意識するのはあまりよくないですね。体の捻転ができていない人が、掌屈してトップでクラブを寝かせると、右、左、チーピン、シャンクが止まらなくなります」と注意を促す。
 
そして小倉の今シーズンの活躍については「これだけ掌屈が上手で、手首の角度を保って下ろせるので再現性は高そう。いいスイングをしています。あとは常に上位にいるとか、流れが自分のほうに来ると、強い選手になっていくのではないでしょうか」と話す。昨年4月の「KKT杯バンテリンレディス」でプレーオフに進み、初優勝を惜しくも逃した小倉。優勝争いを重ねることで、22歳はどんどん強くなる。
 
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。

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