櫻井心那の魅力「100ヤード以内の距離感」はアマなら絶対真似したい!【優勝者のスイング】
最終日が競技中止となった「富士通レディース」で、宮里藍、畑岡奈紗に続く史上3人目の10代での4勝を達成した櫻井心那。2日目にはコース記録タイとなる9バーディ、ノーボギーの「63」を叩き出している。爆発的なスコアをマークする原動力となっているのは、彼女の魅力である飛距離もあるが、「同じくらい武器になっているのが100ヤード以内の上手さ」というプロコーチの南秀樹に、われわれも真似したいポイントを解説してもらった。
100ヤード以内を数ヤード刻みで打ち分けるプロゴルファーに対して、イメージや振り幅がアバウトで、感覚に頼ってミスをするのがわれわれアマチュアの典型だ。すぐに数ヤードを打ち分けるのは難しくても、段階を踏んで距離感を磨くことで、ピンに寄る確率は上げられる。まずはフルショットに対して、7、5、3割の距離感を出すことから始めよう。
例えば、ウェッジのフルショットが100ヤードの人なら、70、50、30ヤードの距離を振り幅で打ち分けたい。具体的には、肩から肩、腰から腰などの自分の基準をしっかりと作ることだ。「ゴルフはボールが止まっているので、自分の基準を作れば、コースが変わっても同じ距離感を出すことができます」と、基準ができれば大きな武器になると南。振り幅を変えても、フルショットのスピードで打つことをポイントに挙げる。「お腹に力を入れて、手元はリラックス。あくまでも体の回転で打つようにしてください」。
もうひとつ、振り幅はフォローをイメージすることを心がけたい。「腰までと思っていても振り幅が大きくなったり、そこまで上がらなかったりするのは、フォローのイメージができていないから。素振りの段階で、『ここまで振る』と明確にしていれば、バックスイングは一定になります」。
3つの距離感が作れたら、次はその間の距離を打つことを覚えたい。7、5、3割の間の距離、6、4割の距離は、ボールの位置とフェースの向きで調整するのが簡単だ。「5割の振り幅で、スイング軌道をカットにすれば4割の距離が出せます。『カットに振るのは難しい』と思われるかもしれませんが、ボール位置を左足寄りにするだけで、自然と軌道はカットになり、距離を落とすことができるんです」。
基本となるボール位置は、真ん中よりも右足寄り。7割スイングでもボール1個は右足寄りに置くのが理想となる。そこからカットに振って距離を落とす場合は、ボール1個ずつ左足寄りへと移動させ、キャリーを確認するといい。またフェースを右に向ける(開く)ことでも距離を落とすことができる。反復練習で、振り幅とセットで体に覚え込ませるのが、絶対的な距離感を作る上では欠かせない。
「最大飛距離は決まっていても、最小飛距離は決まっていない」のがプロのウェッジショット。SWとAW、2本のウェッジで距離を打ち分けられれば、「選択肢が増え風やホールロケーションに合わせたショットでピンを狙っていける」。振り幅で距離を打ち分けるのは基本だが、基本に忠実なプロほど強く、われわれも真似しやすいことなのだ。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属
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