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61歳の久保勝美が初の日本タイトル獲得! 「人生で一番いい」パッティングの秘密とは

久保勝美がバースデーV(提供:PGA)

<日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会 最終日◇30日◇南紀白浜ゴルフ倶楽部(和歌山県)◇グランド:6724ヤード・パー72/ゴールド:6277ヤード・パー72>

和歌山県の南紀白浜ゴルフ倶楽部を舞台に2日間の日程で開催されていた「日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権大会」は全日程が終了。60歳以上のグランドの部は、最終日が61歳の誕生日だった久保勝美、68歳以上のゴールドの部は室田淳が優勝した。

スペインサッカーでは久保建英が大活躍しているが、日本シニア界にはのりにのっている久保勝美がいる。2021、22年シーズンは何とか賞金ランキング30位以内のシード権を確保。それが今年に入ると、5月の60歳以上で争う「関東プロゴルフグランドシニア選手権大会」の優勝に始まり、9月の「コマツオープン」では最終日に逆転して、15年以来となるシニアツアー2勝目を挙げた。

その翌週の「日本シニアオープン」では9位に入り、現在の賞金ランキングは日本勢3番手の6位につけている。そして今大会では、最終日に一時は4打差をつけられるも、諦めずに13番からの3連続バーディで巻き返し、最後はトータル7アンダーで並んだ東聡とのプレーオフを制して、自身初となる日本タイトルを手にした。これで関東グランドと日本グランドを同一年に勝った7人目の選手となった。

その大きくて重い優勝トロフィーには、中村寅吉、石井朝夫、陳清波、飯合肇といった大先輩たちの名前が刻まれている。「昔、自分が若いときにテレビで見ていたり、雑誌で見ていたり、そういう先輩たちの名前が刻んである。そこに自分の名前を入れることができてうれしいです」と喜びを語った。

プレーオフ2ホール目、久保は10メートル、東は4メートルの位置に乗せ、東が有利かに思われた。ところが、久保はこの長いフックラインを先に沈めてバーディ。東のパットはカップの左を抜けて勝敗が決した。

「ゴルフ人生でこんなにいいのは何十年ぶりか。人生で一番いいかもしれない」という絶好調のパッティングについて聞くと「企業秘密なんです」と笑顔でかわされる。それでも、「肩でストロークするとか、頭を動かさないとか、基本的なところを練習していたらよくなったんですよ」と少し教えてくれた。さらに「入れたいという気持ちよりも、いいパッティングをしようとしたらよくなった。技術的な部分ではなく精神的な部分も大きいですね」と付け加える。

また、練習方法にもポイントがある。「カップに向かって打たないんですよ。カップを狙うとリズムが早くなったりする。だからゴミとか芝の色が変わっているところを狙っていつも練習しているんです」。

それでもコースではカップに打たないといけない。そのときの意識は?「本番はカップよりもラインを意識して、そこに打つ。狙いとかリズムとか練習方法をちょっと変えたら、緊張したときでも意外とスムーズに動いてくれる。しびれないんですよ」。その言葉の通り、正規の18番では外せば負けが決まる1.5メートルのパーパットを「打つ前から入ると思っていた」と、あっさり沈めている。

コマツオープンの優勝で、今年一番の目標としていた来年のシニアツアー出場権を確保した久保。今後の目標としては「3ツアーズ出場」を挙げる。毎年12月に行われる男子、女子、シニアの対抗戦は、賞金ランキング上位3名に会長推薦の3名を加えた6人が出場できる。久保の賞金ランキングは現在6位で、このままの位置なら選出される見込みだ。

「1年のご褒美として、3ツアーズをひそかに目標にしています。片山(晋呉)、宮本(勝昌)、藤田(寛之)、谷口(徹)、手嶋(多一)、深堀(圭一郎)が出たほうが、イベント的には盛り上がるかもしれない。61歳のおっさんがポツンと孫みたいな女子プロと一緒に回ってもね。だけどゴルフは何年できるか分からないし、今年最後だと思って選ばれるようにシニアツアーを頑張らないといけない」

次週はシニアメジャー「日本プロゴルフシニア選手権」(10月5~8日、茨城県・サミットゴルフクラブ)に出場する。今度はレギュラーツアーにも出場する宮本勝昌や片山晋呉といった、50歳になったばかりの若い選手たちとメジャータイトルを争う。それでも久保は「いいゴルフができたら10位くらいには入れる」と自信を見せる。レギュラーツアー時代に無名だった男は、61歳のいま、全盛期を迎えている。(文・下村耕平)

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