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レギュラーツアー開催コースで下部ツアー開幕 今年もルーキー大躍進なるか!?【中野晶のステップ・アップ通信】

期待のルーキーズがステップデビュー。開幕戦で光を放つのは誰だ(撮影:福田文平)

国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは今季21試合が開催される。その開幕がいよいよ3月16日(木)に迫った。初戦は新規大会の「大王海運レディス」。毎年11月に行われるレギュラーツアーの「大王製紙エリエールレディス」と同じ愛媛県のエリエールゴルフクラブ松山が舞台だ。そこで同ツアーで解説を務める中野晶に、今季の展望と開幕戦の見どころを聞いた!

■昨年大活躍のルーキー 今年は11人が出場

昨年のステップは、高校を卒業したばかりのルーキー・櫻井心那が5勝を挙げて賞金女王に輝いた。そして川崎春花はステップで優勝を遂げると、予選会から出場権を得た「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」でツアー優勝。一気に階段を駆け上がった。「プロテストに合格した選手の実力が上がっているのは確かです」と、新人の活躍は必然とも言える時代だ。

現行の制度では、プロテストに合格すると翌年のステップ全試合に出場することができる。言ってみれば職場は確保されているわけだが、最終プロテストが18年までの夏開催から秋開催に変わったことで、選手のスケジュールが変化。夏開催の場合、プロテスト合格後は秋開催のステップに出場しながら年末のQT(予選会)に備えることができたが、いまは「プロテスト直後にQTがあるため、合格の勢いに乗ってQTに出場し上位に入った選手もいます」とプロデビューの流れが変わっている。

昨年末のQTでは、4人のルーキーが今季レギュラーツアー前半戦のほぼすべての試合に出場できる権利を獲得した。「そういう選手もいるなかで、ステップから開幕を迎えることになった選手もいます。今週はルーキー11人がステップに出場します。ステップからの開幕となったことで、悔しさを持っている選手もいるのではないでしょうか」

昨年の川崎はステップに出場しながらレギュラーツアーのマンデー(主催者推薦選考会)にも挑戦。「レギュラーツアーにも出場したいという強い気持ちの表れではないでしょうか。チャンスがあればレギュラーを狙うという姿勢があったと思います」。一昨年のQTでは62位と上位には入れずステップがメインなってしまったが、チャンスを生かし大躍進。「そんな選手がもっと出てくれるとおもしろいですね」と、中野はルーキーの目の色に注目する。

レギュラーツアーの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」ではルーキーの荒川怜郁がいきなり上位を賑わせた。「そんな活躍が、ステップデビューする選手にも刺激になっているのではないでしょうか。私にもできるのではないか、という気持ちになった選手も多いはず。プロデビューする選手たちの、初日スタートのティオフでの表情を見るのが楽しみです。ルーキーの選手を見る上では、そういった部分も楽しみの一つです」。

■賞金女王争いは年々加熱? 重要なのは…

ここでステップの仕組みを少し整理しよう。年間21試合が終わり、賞金ランキング1位と2位に入った選手には、翌年のレギュラーツアー前半戦の出場権が与えられる。また、同3位~10位の選手、ツアー優勝者は、今年末に行われるQTのファイナルステージから出場が可能となる。

つまり、賞金ランキングで上位に入ることがまずは一つの目標だが、ルーキーや若手だけがステップの舞台にいるわけではない。開幕戦の出場者を見れば、レギュラーツアー優勝経験者が9人。シード権経験者が19人と、実力者がひしめく。「まずは、スタートダッシュが大事ですね」とするが、注目を集めるルーキーの壁となる選手が多いのも最近のステップの特徴だ。「臼井麗香さんや山路晶さん、酒井美紀さんといった選手がステップに出てどんなプレーをするのか。どうやってレギュラーに戻っていくのか、それを見るのも楽しみですね」。

昨年の櫻井は年間5勝というステップ新記録を達成し女王戴冠。「昨年は5勝で女王。やはり3勝以上はしないと、そこまで勝たないと女王にはなれないという自覚が選手には出ているかもしれません。そういうレベルにステップもなっているということです」。複数回優勝を目指すなかでは、開幕戦の戦いは大いに興味アリ。会場がレギュラーツアーと同じ舞台であることも実は見どころの一つだ。

■レギュラーツアー開催の地、見どころは?

「私はレギュラーでもステップでも、攻め切れないと優勝はできないと思っています。安全なところに打ってパーを取りにいくゴルフではシードも優勝も難しい。勝負魂をいかに持てるかだと思っています」

今回の会場は毎年11月に開催されるレギュラーツアー、大王製紙エリエールレディスと同じ舞台というのが興味深い。レギュラーツアーでは5番が450ヤードのパー4だが、ステップではパー5。「今回のヤーデージは6605ヤードです。パーが違うとはいえ、レギュラーより長いんです。私はステップだからといって短くする必要はないと思っています」と中野。レギュラーに上がるための登竜門という位置付けであるなら、ステップからレギュラーと同じ舞台を踏むことは重要なことであり、実力の差を見るにはもってこいだ。

「ギャラリーの方々も関係者も、皆さんレギュラーツアーのプレーを見ていますから、ステップの選手とのプレーの違いなども見比べることができるんです。だからこそ、ステップの選手にも攻めきって欲しいと思っています」。

21試合という長丁場のシーズン。「2023年の開幕はステップのエリエールで始まりますが、レギュラーツアーにも挑戦しシード選手になる選手が出てくれればいいなと思っています」。11月にレギュラーツアーでエリエールに戻ってくる選手はいるのか。文字どおりステップ・アップを果たす戦いが幕を開ける。

解説:中野晶(なかの・あき)
1987年のプロテストに合格し、90年に賞金ランキング25位に入りシード権を獲得。以降、ツアー通算9勝。2000年には同ランキング2位に入った。現在はテレビ解説や日本女子プロゴルフ協会の大会コースセッティングも担当するなど、幅広く活躍を続けている。

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