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毒キノコによる食中毒発生! わかっていてもなぜ繰り返される? ゴルファーもあらためて注意

ゴルフコースのラフに発生したキノコ(撮影:ALBA)

毒キノコはゴルフ場にも当然のように発生します。最近では、東京都で12年ぶりとなる毒キノコによる食中毒が発生したというニュースがありましたし、少し前の話になりますが、ゴルフ場で採った毒キノコを誤って食べた男性が嘔吐(おうと)や言語障害など、食中毒の症状で入院したというニュースもありました。

自然の恵みとして、昔からキノコ狩りと称して食べられてきた経緯はあるにせよ、ここ最近では厚生労働省からも、「絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないように」という注意が毎年のように叫ばれています。このような注意喚起によって誰も“採取して食べる”ということ自体を考えなくなってきている今の時代にあっても、なぜ毎年のようにこのような事故が起きてしまうのでしょうか?

特にゴルフ場の場合では、以前は問題視された農薬も実際には問題ないということで、安全性は確保されているとはいえ、大自然の中で生えているキノコと比べたらやはりちょっと、とためらう気持ちが強くはたらくはず。

仮によほどのキノコ好きだったとしても、それだけでは説明がつきません。考えられる可能性としては、潮干狩り、釣り、野生のセリ、つくしなど食べられる野草(毒セリというのもあるようです)、この季節なら野山の栗、アケビ、少し特殊ですけどハンティングなどなど、自然の恵みを享受したいという気持ちがそうさせていると思われます。(たまたまキノコは毒アリかナシかの判断が難しい)

千葉にあるゴルフ場の支配人に事情を聞くと「プレー中にキノコをコースでとってくる方も時々見かけます。年齢の高い方が中心で若い方は皆無です。子供のころからキノコ狩りをして、食べられるキノコを見分けられる自信があるのだと思います。ただ、ゴルフ場に生えているキノコを食べて食中毒起こされると困るので、『芝生の養生のために病虫害防止の農薬などを散布しているのでおすすめしていません』と説明しています。お持ち帰りなる方は、いらっしゃらない」とのこと。キノコを採るという行為に満足しているのかもしれません。

また「キノコとは別ですが、コースに竹藪のあるので、春にタケノコを取られる方もおられます。斜面などの足場の悪いところが多く、けがをされる危険性もあるので、これもおすすめしていません。ゴルフ場では自然の中でプレーに集中して楽しんでもらいたい」とのことです。

絶対に起きるはずがないのに起きてしまう毒キノコによる事故。今年も起きないことを願うばかりですが、栽培されたものではなく、自然に生えるマツタケなどの美味しいキノコも流通しているということは、誰かが採取している証拠でもあります。(ちなみにマツタケに似た毒キノコはないですよね?)

キノコ狩りをしている人は長年の経験によって、「これは食べられるキノコ。これは毒がある」という判断ができます。しかし、できると思っていても判断を誤ることがあるのが毒キノコ。経験を積んだ人でも間違うことがあるなら素人にはとても無理。ゴルフ場にもキノコは生えます。当たり前ではありますが、採取しない、食べない、をいま一度意識の片隅においておいても損はないと思います。

(取材/文・嶋崎平人)

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