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菅沼菜々が涙の初優勝 『広場恐怖症』乗り越え「本当に夢のよう」

プレーオフを制して初優勝を果たした菅沼菜々。ギャラリーからの大歓声を浴びた(撮影:佐々木啓)

<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 最終日◇13日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6702ヤード・パー72>

悲願成就だ。23歳の菅沼菜々が神谷そらとの息づまる熱戦を制し、悲願のツアー初優勝を果たした。プロ6年目。ようやくその手に優勝カップを掲げた。

1ホール目はともにボギー。2ホール目のティショットは菅沼がフェアウェイ、神谷が右ラフへ。2打目を左のカラーに置いた神谷に対し、菅沼はピンそばにつけるナイスショット。約1.5メートルのウィニングパットを沈めると、右こぶしを突き上げて優勝の喜びを表した。

グリーンサイドにいた父、親友の稲見萌寧らが祝福した。ギャラリーが惜しみない拍手と大歓声を送った。あと一歩で逃し続けてきた悲願のV。その実感が湧くとともに、涙があふれて止まらなかった。

2018年プロ入りの菅沼は、昨年に頭角を現した。幾度となく優勝争いに絡み、期待の若手として注目を集めた。年間トップ10入りは15回を数え、ポイントレースのメルセデス・ランキングでは8位と飛躍。だが、結局勝利をつかむことはできなかった。

「去年からなかなか勝つことができなくて、もう優勝できないんじゃないかと思ったこともあります。くやしい思いをたくさんして、こうして勝つことができてうれしい。いまは本当に夢のようです」。優勝スピーチでは涙も乾き、満開の笑みで優勝の喜びを語った。

特定の状況で強い恐怖や不安を感じる『広場恐怖症』の菅沼は、飛行機などの交通機関を利用できず、これまで車で移動できる大会にしか出場していない。それをものともせずにつかんだこの勝利は、大きな意味を持つ。

「私と同じ広場恐怖症の人に勇気とか、感動を与えられるんじゃないかと思っています」

23歳はハンディキャップを活力に変えて、さらなる勝利へまい進する。

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