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ゴルフの救済ルール、間違って理解してませんか? 救済処置のポイントまとめ【2024年版】

3.罰なしの救済の条件は3つ

救済措置は障害物があったとき受けられますが、障害物の種類やその定義によって、罰そのものの有無や罰打数が変わります。この見極めと処置が難しく、多くのゴルファーが頭を悩ませるポイントになっています。

以下の障害物からは無罰で救済が受けられると明確になっていますので、まずはこの3点を覚えましょう。

【1】ルースインペディメント(規則15.1)
【2】動かせる障害物(規則15.2)
【3】異常なコース状態である動物の穴、修理地、動かせない障害物、一時的な水(規則16.1)

【罰なしの救済1】ルースインペディメント

ルースインペディメントとは、“loose(ばらけた) Impediments(障害物)”という意味で、「ボールを動かさずに簡単に動かせる自然物」というようなイメージで考えるとよいでしょう。以下のようなものが該当します。

■木の枝や落ち葉、ちぎれた草
■石
■生きている昆虫やその残骸、クモの巣
■圧縮された土の塊(エアレーションプラグを含む) など

例えばバンカーに小枝や木の葉が落ちていた場合、2019年のルール改正から、無罰で取りのぞけるようになりました。

ただし、以下のようなものは、自然物であってもルースインペディメントとはみなされません。

×砂やバラバラの土
×直接地面に根を張っている木々
×地面に固くくい込みその場所に固定されている岩
×ボールに貼りついているもの、例えばちぎれた芝など
×露、霜、水

ちなみに、砂やバラバラの土はルースインペディメントとして扱われませんが、例外としてグリーン上では取り除いてもOKなので覚えておきましょう。ただしグリーン以外では、影響を与えそうなルースインペディメントを、ボールのリプレース前に取り除くことは1打罰となります。ボールが動いているときも同様で、結果によらず罰の対象となるので注意が必要です。

なお、パッティンググリーンやティーイングエリア以外でルースインペディメントを取り除く際、そのあいだにボールが動いてしまっても無罰ですが、元の場所にリプレースしなければなりません。

動かせるなら岩でも動かしてOK!?

「簡単に動かせる」と前述しましたが、もし「短時間で動かせる」なら人の手も借りて巨石を動かしてもルール上の問題はありません。タイガー・ウッズは1999年の「フェニックス・オープン」で、大きな岩を“地面に埋まっていない”としてギャラリーの手を借りて動かしました。

最新のルールにもこう規定されています。

「コース上やコース外のどこででもプレーヤーは罰なしにルースインペディメントを取り除くことができ、その方法は問わない(例えば、手、足、クラブ、その他の用具を使用する、他の人からの援助を受ける、ルースインペディメントの一部を折って取り除く)。」(規則15.1a)

ギャラリーがたくさんいたタイガーならではの処置かもしれません。

その後も、キャディの手を借りて大きなルースインペディメントを除去するプロの姿などを時おり目にします。ただし、アマチュアゴルファーの場合はケガの可能性もあるので無理はせず、ほかの安全な処置を受けるのが無難でしょう。

【罰なしの救済2】動かせる障害物

動かせる障害物の定義は、「物理的な努力でその障害物やコース損傷をさせずに動かすことができる障害物」です。「境界物を除く簡単に動かせる人工物」というイメージでよいでしょう。例えば以下のようなものです。

■カード道を示す看板
■赤杭、黄杭、ヤード杭
■バンカーレーキ
■ゴルフカート
■ゴミ箱、空き缶 など

境界物になっている人工物としては以下が該当し、障害物として扱われないため除去できません。

×境界を表している壁、フェンス、杭、レーリング

このうち、OB(Out of Bounds、プレーできる領域の境界外の意味)を示す白杭は、身近なものだけに特に注意が必要です。ほかの杭は邪魔になれば抜いてショットできますが、境界物である白杭で同じようにすると2打罰です。抜いてしまってもショット前に元に戻せば無罰ですが、「白い杭だけは抜いてはいけない」と覚えておきましょう。

また障害物に関しては、ローカルルールによって、本来「動かせる障害物」を「動かせない障害物」に設定できます。

【罰なしの救済3】異常なコース状態

異常なコース状態とは、以下のように定義されています。

■動物の穴
■修理地
■動かせない障害物
■一時的な水

このうち、動かせない障害物は「不合理な努力なしには、またはその障害物やコースを壊さずには動かすことができない」ものと定義されており、具体的には以下が該当します。

■金網や防護ネット
■人工的な表面を持つ道路(カート道など)
■建物、避難小屋
■スプリンクラー、排水溝 など

OBやペナルティーエリア以外のコース上にある金網や防護ネットは「動かせない障害物」ですが、隣接ホールやOBゾーンとの「境界物」として定められている金網は障害物ではないため該当しません。

障害物についての考え方や金網まわりの救済について、詳しくは「金網が邪魔でスイングできないときの救済方法とは? 『障害物』の基本的な考え方も紹介」も参考にしてください。

4.「こんなときどうする?」よくあるシチュエーションでの救済措置

ここでは、よくあるシチュエーションでの救済の受け方や処置の仕方を確認しましょう。基本的な考え方を覚えておくと、類似のケースでの判断もつきやすくなります。

まずは「完全な救済のニヤレストポイント」を知ろう

救済のルールによく出てくる「完全な救済のニヤレストポイント」は、「救済を受けようとするストロークへの障害がなくなる地点」というような意味です。

正確には、以下の条件を全て満たす必要があります。

■ボールの元の位置に最も近く、ホールに近づかない
■要求されるコースエリア内
■そのストロークに対して救済を受けようとしている障害がなくなる所

つまり、「問題となっている障害がなくなり、行うはずだったスタンスやスイングができるホールに近づかない地点」と考えられます。

【1】カート道にボールが落ちた:無罰

カート道にボールが落ちた場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰で救済を受けます。処置の方法は、「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップ。

スタンスがカート道にかかっていたり、意図したスイングの障害になったりする場合も同様の処置でOKです。

カート道に止まったボールは救済を受けられる! 正しい救済方法とポイントを解説」で詳しく解説しています。

【2】排水溝のフタにボールが乗った:無罰

排水溝のフタにボールが乗った場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰で救済を受けます。「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップしてプレーを再開しましょう。

フタの上に水がたまっていれば、場合によっては「1:一時的な水」のなかにスタンスがかかる「2:異常なコース状態」として2段階での救済も可能になります。これは、「救済は各状態から別々に受けなければならない」という定義によるものです。(*1)

バンカーの水溜まりにボールが入った場合は、「雨中のゴルフでバンカー内の水溜まりにボールが入った」が参考になります。

【3】マンホールのフタの上にボールが乗った:無罰

マンホールのフタの上にボールが乗った場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰の救済を受けます。「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップしてプレー再開です。スタンスやスイングの障害になる場合も同様の処置を受けられます。

詳しくは「マンホール上にボールがあったときは無罰で救済を受けられる! 正しい救済方法を解説」で解説しています。

【4】木の根のそばにボールがある:アンプレヤブルで1打罰

木の根のそばにボールがある場合、地面から生えている植物は「ルースインペディメント」に該当しないため、あるがままのプレーが求められます。切り株も、土に根を張っている限りは同様の判断です。どうしても打ちにくい場合などは、アンプレヤブルの1打罰で救済を受けましょう。

切り株や木の根の近くにボールがあるとき救済を受けられる? 対処法と同伴者への声のかけ方を紹介」では、同伴者への声のかけ方まで提案していますので、参考にしてください。

ボールについた泥、拭いてもいい?

あるがままにプレーするのがゴルフの基本。ボールの泥を拭くことは、基本的に認められていません。

ただし、例外が4つだけあります。

【1】グリーン上
【2】落下の勢いでボールが地面に埋まったとき
【3】泥で自分のボールかどうか確認できないとき
【4】ローカルルールとしてプリファードライとリフトアンドクリーンが認められている場合

ボールが汚れたからといっていつでも拾い上げて拭くことはできませんが、「救済のために拾い上げた球は、常に拭くことができる」(規則14.1c)とあるため、救済を受ける際には拭いても構いません。

自分のボールであるか判別できないときは、同伴者の許可を得て、マークした上で拾い上げましょう。この場合は、球の確認に必要な範囲だけを拭くようにします。

なお、同伴者のショットで自分の止まっているボールが汚れた場合は拭けます。

つまり、自分のプレーにより汚れたボールは、上の4つの例外と救済でしか拭けないことを覚えておきましょう。

5.まとめ

救済の全てのパターンを覚えておくことや前もって調べておくことは、現実的ではありません。とはいえ、よくあるケースや基準だけでも覚えておくことで、実際のラウンドでより“お得な選択肢”を選べる場面もあるでしょう。日本語の利用もできるR&A提供のアプリも手軽で便利です。一度試してみてはいかがでしょうか。

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