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「経験も重要になってくる」 21歳の久常涼が“オーガスタの洗礼”で感じたこと

初出場の久常涼は6オーバーと出遅れ。巻き返しを図る(撮影:GettyImages)

<マスターズ 初日◇11日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>

「ほんと難しいですね、ここは」。ずっと憧れてきたマスターズでの初ラウンドについて聞かれた久常涼は、こんな言葉に感想を凝縮した。21歳の若者にオーガスタは容赦なく牙をむいたが、それも今後の大きな糧になる。

「やっぱり思った以上に1番のティショットは緊張しました」。高揚感はドキドキに変わる。それでも3打目をピンまで55ヤード残したこのパー4を、なんとかパーで切り抜けると落ち着きを取り戻すことができた。すると続く2番パー5で、ピンまで46ヤードの3打目を奥3.5メートルにつけ、記念すべき初バーディもゲット。しかし、そこからが試練の連続だった。「難しいホールが続いて、耐えられなかったのがきょうの反省。準備不足です」。ハキハキとした口調だが、そこには悔しさもにじむ。

困惑させられたのは、オーガスタに吹き込んだ風。早朝降った雨の影響でスタート時間がずれ込み、午後2時にコースに出ることになったのだが、だんだんと強まる気まぐれな風に悩まされた。「一定に吹かないし、回ってもいた。一緒に回ったマイクさん(マイク・ウィアー)も、その辺は時間をかけるシーンが多かった。ジャッジがうまくいかなかった。あしたは切り替えて頑張れれば」。2003年に大会を制覇したレフティの風との向き合い方も印象に残る。

11番パー4では、フェアウェイからピンまで残り209ヤードの2打目を左の池に入れダブルボギーを叩いたが、これも風に惑わされたことが原因だ。「自分のところは左からのアゲインストを感じたけど、グリーン上は全く左から吹いてなく流れてきた。右にも外せないし…」。グリーンは練習ラウンドよりも止まりやすくなっていたため、何とかできたのでは、という思いも去来もする。「このコースは経験もとても重要になってくるのかな」。それを感じながらの18ホールだった。

開幕前の練習ラウンドでは2021年大会覇者の松山英樹と、2日間にわたり、アウト・インの18ホールをプレー。技術はもちろん、その“経験値”も肌で感じ取った。傾斜の使い方など目からウロコのプレーをじかに見て、アドバイスもたくさんもらうことができた。だが、「頭に入れながらプレーはしていたけど、風のジャッジに苦しんだ。うまく傾斜を使おうと思っても、その位置に置けないことも多かった。そのあたりは課題だし、いい経験です」と、やはり風にイメージを崩されることになる。

6オーバー・暫定85位タイ。この現実をかみしめながら、それでも力強い眼差しで先を見つめる。「コース全体が難しかったのが正直なところ。11番はダボを打ったけど、12、13番はチャンスについていた。吹っ切れる位置まで行くと良かったですけど、いい流れの時にどうなるかというのも楽しみ。緊張できるよう、あしたはいいプレーがしたいです」。

その一打一打は必ず今後につながってくる。日本から欧州、そして米国とステップアップを続ける新進気鋭が浮上を目指し、あすも“難しいコース”に立ち向かっていく。(文・間宮輝憲)

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