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島中大輔キャディが語る中島啓太の快進撃 「パターを換えて明らかに良くなった」

島中大輔キャディ(左)と中島啓太(撮影:福田文平)

<長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ 事前情報◇28日◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)◇7178ヤード・パー72>
 
5週連続最終日最終組、そして今季はここまで9試合に出場して、優勝1回、2位3回、3位1回とトップ10入り7試合の快進撃を続けている中島啓太。現在賞金ランキングはトップで、そのほとんどの試合でバッグを担いでいるのがプロキャディの島中大輔氏だ。

2010年と15年に2度の賞金王を獲得したキム・キョンテ(韓国)のエースキャディを務めていた島中氏。キョンテの国内男子ツアー通算14勝のうち、「5、6勝」は島中氏とのタッグで挙げた勝利だ。一方、「かっこよくて高校のときから憧れました」と中島にとってキョンテはリスペクトする存在。18年の「アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ」の予選ラウンドでは、そんな中島とキョンテの組み合わせが実現している。中島が高校3年生のときだった。
 
「もともと啓太はキョンテが好きでサングラスを真似していた。ダイヤモンドカップで一緒に回ったときに、『いつかプロになったら一緒にやってみたいね』って軽く言っていたんですよね。そういうきっかけもあって」と島中氏。昨年、キョンテがケガをしたこともあり、「一回試してみたら」と、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で中島と島中氏は初めてタッグを組んだ。
 
結局、そこからシーズン終了までの3試合をともに戦い、最初の2試合は35位タイ、予選落ち。「調子が悪いときに担いだのが逆に良かったですよね。調子がいいときだったらみんな(他のプロキャディ)が群がるだろうし、僕が勝手に思っているだけですけど、悪いときのほうが選手もわかる。励まし励ましでそれが良かったのかな。悪かったけど可能性はビンビン感じました」と振り返る。中島のシーズン最終戦となった「カシオワールドオープン」では広いフェアウェイにも助けられ8位タイ。「来年もお願いできますか」と、23年シーズンもタッグを組むことになった。
 
そして迎えた今季開幕戦「東建ホームメイトカップ」では8位タイ。「すごくショットが良くなってビックリしましたね。あとはパター入ればというのがありました」。そこから3試合は9位、12位タイ、21位タイと、好調なシーズンの滑り出し。5試合目となった5月の「〜全英への道〜ミズノオープン」からブレード型パター『TPリザーブ』を投入すると、中島の快進撃が始まることになる。しかし、島中氏はその週、男子ではなく女子の会場で吉田優利のバッグを担いでいた。
 
新パターを投入したミズノでは、プレーオフで惜しくも敗れて2位だった中島。勢いは止まることなく、その2週後の「ASO飯塚チャレンジドゴルフ」では、島中氏とのコンビでプロ初優勝を挙げることになる。パター投入から前週まで5週連続で最終日最終組を回り、2位、2位タイ、優勝、2位、3位タイと無双状態をキープしている。
 
「パターを換えて明らかに良くなった。びっくりするくらい道具でこんなに違うのかなって。パターが良くなると、プレッシャーが減るからアプローチも良くなる。もともとショットが良かったけど、成績はトップ10くらいだった。パターを手にした途端に啓太はやっぱりすごかったです」
 
今年に入ってショットの精度は「超トップレベル」。島中氏はそんな中島とのプレーを楽しいと感じている。「140ヤードにマウンドがあるから、そこに落としてって言ったら、そこに打っちゃうから! 大きいクラブのときは『風に当てたほうがいいですか?』とか、たまらんことをいうなーって(笑)」。メモを見るのは島中氏。中島はイメージを大事にして、与えられた情報を元に最善のショットを放つ。2人の息はピッタリだ。
 
中島は今大会で6連戦と疲れもあるが、この試合が終わると、2週間のオープンウィークとなる。女子ツアーとのかけもちで中島以上の連戦が続く島中氏は来週、内田ことこのキャディを務めた後、5日間の休みを取り、中島とともに渡英する。3週後に開幕する「全英オープン」(7月20~23日)に出るためだ。51歳の体にむち打ちながら、「楽しみ、楽しみ」と中島とのメジャーを心待ちにしている。(文・下村耕平)

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