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帽子を脱いだら決意の2ミリカット シニア初Vを狙う飯島宏明の敵は“逆目のアプローチ”

シニア未勝利の飯島宏明がビッグタイトルをつかみにいく(撮影:ALBA)

<日本プロゴルフシニア選手権 3日目◇7日◇サミットゴルフクラブ(茨城県)◇7023ヤード・パー72>

シニア3年目の飯島宏明がシニアプロ日本一決定戦で悲願の初優勝に大きく前進した。首位と2打差の2位から出たこの日、3バーディ・1ボギーの「70」をマーク。トータル8アンダーまで伸ばして、サマヌーン・スリロット(タイ)、パク・スンピル(韓国)と並んで首位タイで最終日を迎える。

メジャー仕様の深いラフに加えて、3日目にしてグリーンが硬く、速く締まった。上位陣がスコアメイクに苦しむ中、「前半はしっかり耐えて」と持ち味を生かしてパーを並べると、8番9番で連続バーディとして単独首位に立った。13番パー4では、グリーン周りから「逆目のアプローチでチャックリ」してボギーを喫した。15番パー4で取り返し、単独首位に立つチャンスのあった18番パー5では、3打目の逆目のアプローチをミスしてパー。3人の横並びで明日はスタートする。

単独首位に立つチャンスを逃したが、「難しいコンディション、バーディが取りにくいピン位置での『70』はナイスラウンドだったと思います。やっぱりメジャーですからね」と、2つ伸ばせたことに及第点をつけた。

悲願の優勝といってもいい。高校時代はバドミントン部に所属していた飯島。高校卒業後にプロを目指すと、24歳だった1995年にプロテスト合格。正確なショットとショートゲームを武器に、2001年には下部ツアーで2勝を挙げ、02年にレギュラーツアーに昇格した。04年には約33万円差でシード権を逃した。05年以降もレギュラーツアーでは優勝やシード権を獲得できずに、21年にシニア入り。1年目から賞金ランキング19位でシード権を獲得している。

昨年は最終戦の「いわさき白露シニア」で渡部光洋とのプレーオフに進むも、自滅で初優勝を譲る。今年も「マルハンカップ太平洋クラブシニア」でプラヤド・マークセン(タイ)とのプレーオフに敗れ、翌戦の「コマツオープン」では1打差の2位と何度も惜敗を経験している。

昨年の賞金ランキングは10位で、今季もここまで7位につけている。今季の平均ストロークは69.37。宮本勝昌、マークセン、藤田寛之という賞金ランキング上位3人に次ぐ4位と、ツアーを代表する安定感を見せている。まさに『いつ勝ってもおかしくない』ほどの好調ぶりだ。

メジャー仕様の難度の高いコースで、この3日間のボギーはわずかに2つ。「フェアウェイから打てているので、そんなに大きくミスしていない」と安定感が光る。ボギーを打った2つはいずれもたまにグリーンを外したときの「逆目のアプローチのミス」と話す。

グリーン周りは10センチを超える深いラフが点在する。この日も13番でゆるんでチャックリ。最終18番では2打目でグリーンサイドまで運んだが、「13番のイメージがあったので、ゆるまないようにと思ったら強く入ってしまった」と5メートルオーバーしている。

テレビ解説で放送席に入っていた日本プロゴルフ協会副会長を務める芹澤信雄は、飯島の18番の3打目を見ていた。ホールアウト後、飯島に「もう少しゆっくりやれよ、速すぎるよ」と声をかけた。飯島的には「もじもじしていたらチャックリしそうで…。何も考えないで打っちゃいました。明日はゆっくり慎重にやります」と話した。

その後、取材を受けている最中も、レギュラーツアー6勝の平塚哲二が「あっ、うまい人がいる」と言えば、レギュラーツアー通算5勝の横尾要は「“いつも”ナイスです」。飯島の安定感を知る二人が声をかけると、飯島はすかさず「逆目のアプローチはどうやって打つの?」と“取材”をはじめる。今週の飯島の敵は逆目からのアプローチである。

3打差以内に11人と大混戦となっているが、「いい位置ですよね。ずっと2位とかプレーオフで負けているので、(優勝は)意識すると思います。緊張で硬くなると思うけど、1ホール1ホール、1球1球集中して上がってきて、笑えたらいいかなと思います」。

9月のコマツオープンの前の週には、「気合いを入れるために」とバリカンを入れて2ミリの坊主頭にした。「勝つまで伸ばしません」と決意の断髪。そろそろ髪を伸ばしたいころだ。

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