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「暗すぎた、もっと早くにプレーをストップするべきだった」 M・クーチャーが“抗議”のプレー中断
<ウィンダム選手権 4日目◇11日◇セッジフィールドCC(米ノースカロライナ州)◇7131ヤード・パー70>
初日は嵐に見舞われた「ウィンダム選手権」。第2ラウンドが終了したのは日曜の朝、そのまま決勝の36ホールを一日で戦い抜いて、日没ギリギリでアーロン・ライ(イングランド)が初優勝を決めた。
だが実際には公式には大会は終了していない。なぜなら第2ラウンドを終えてトップに立っていた46歳のマット・クーチャー(米国)が終了していないから。最終組で決勝の2ラウンドをプレーしたクーチャーは、最終18番パー4のティショットを左のラフに打ち込んだところでプレーをストップ、翌朝に戻ってきて終了することを選択した。
クーチャーは第3ラウンドを「70」、第4ラウンドも17ホールを終えて1オーバーと伸ばせずトータル11アンダー・12位タイ。クーチャーのスコアは優勝に関わらないことから、表彰式は行われライは優勝トロフィーを掲げた。
なぜクーチャーはプレーをやめたのか? これはクーチャーなりのツアーへの抗議だった。
プレー後、クーチャーは米ゴルフチャンネルのリポーターに「われわれはプレーをストップするべき暗さをとっくに通り過ぎていた」と語っている。
クーチャーと同じ最終組でプレーしていたマックス・グレイザーマン(米国)は、バックナインで2位に4打リードしていながらも14番パー4で『8』、16番パー3でダブルボギーと大崩れした。暗さが原因かは分からないが、クーチャーは「マックスの16番のプレーを見ていた。あそこで日没のホーンは鳴らされるべきだった」と主張した。
「かわいそうに、彼が試合に勝つべきだと思った。僕がプレーをストップすることで彼に大事な一打を見せられるかもしれないと」。前を行くライが18番でバーディを決めて1打リード、しかしグレイザーマンもバーディを奪えばまだプレーオフにもつれ込むチャンスはあった。クーチャーは18番でプレーを中断する際にグレイザーマンに「僕はプレーをやめる。君も僕と同じようにするべきだと声を掛けた」とクーチャー。ところがこれが聞こえなかったのか、グレイザーマンはプレーを続行し、最終的にはバーディは奪えず負けた。
疑問が残るのはクーチャーが18番のティショットを、前の組がフェアウェイにいるのに先に打ったこと。わざと左に曲げたのかとも思われた。ルール上、ホーンが鳴る前に同組の選手一人でもティショットを打っていれば、その組全員にそのホールをプレーする権利が与えられる。しかし中断することも可能で、個々の選択となる。
PGAツアーは72ホールをもって1大会とするとし、安易に競技短縮の選択はしない。しかし月曜に延長すればツアー、コース、スタッフなど多大な負担が生じることになるので、ともすれば無理にプレーを続行することもあるのかもしれない。今大会の最終日は日没との戦いでもあった。クーチャーは選手の立場から抗議の一石を投じたかったようだが、クーチャーの行動を疑問視する声もあがっている。
クーチャーは12日、月曜の朝8時に18番ホールの第2打からプレーを再開する。一人で…。(文・武川玲子=米国在住)
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