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申ジエのクラブセッティングにアマチュアが学ぶべきことは?【プロフィッターに聞く】

プロのクラブセッティングが、個々に最適にチューニングされているのは当然だが、技量が圧倒的に足りない我々アマチュアが学べることはあるのだろうか。何百もの試打シャフトや剛性分布データを駆使して正解に導くプロフィッターの澤田嘉之氏に、女子プロのセッティングに学ぶべき点を聞く。
 
今回は、直近の「全米女子オープン」で2位に入った申ジエを取り上げる。クラブ契約フリーのレジェンドは、今季の国内女子ツアーで12戦2勝。出場試合を絞り、高額賞金大会を狙い通りに穫る勝負強さを発揮する申ジエのクラブについて、澤田は「アイアンに軽量カーボンを使う、名手のウェッジシャフトに学びたい」と話す。
 
【申ジエのクラブセッティング】
1W:パラダイム◆◆◆(9.0°スピーダー569 EVO4-S)
3,5W:ステルスプラス(15,19°スピーダーNX50-S)
4,5U:ステルス2レスキュー(22,25°MCH60-S)
6I〜PW:APEX TCB(TOUR AD AD-65 TypeII S
50,54,60°:JAWS(N.S.PRO 850GH S
PT:TRI-BEAM #1CS
BALL:タイトリスト PRO V1
 
「契約フリーの申ジエ選手は、昔はミズノで今はキャロウェイと、アイアンヘッドはその年によってメーカーも機種も変わる印象です。でも、シャフトはグラファイトデザイン『TOUR AD AD-65 TypeII』で変わらない。女子プロのアイアンシャフトで一番多い80g前後のものよりも軽くてしっかりの『AD-65』を好むのが特徴ですね。
 
一般アマで『AD-65』を使う方は“かなりの通”ですが、近い重さの純正カーボンを使用する方も多いでしょう。そんな方のウェッジシャフトは? と言えば、純正カーボンのセットウェッジや、アイアンより30g以上重いスチールの方も多い。申ジエ選手のアイアン~ウェッジの振り感の整え方には学べると思いますね」
 
アイアンとウェッジが同じセットなら、振り感も揃い何も問題は起きないはず。申ジエのどこに学ぶのか?
 
「セットで使っていても、動きの中の重さの感じ方やコントロール性は現状どうでしょうか。申ジエ選手のアイアンがしっかりしたカーボンで、ウェッジが20gほど重く少し動きのあるスチールという点は参考になりますよ。技術のある人ほどウェッジのバランスが軽く何でもできるモノを求めますが、シャフトが硬く感じると低速の時にゆったり打ちづらい。その“汎用性の高さ”が申ジエ選手のウェッジシャフトに現れています。

例えば、『ステルス』など60g台の純正カーボンのアイアンの方は、10gほど重いスチールの日本シャフト『ゼロス7』や、約20g重い『ゼロス8』を試して欲しいですね。先端の拾ってくれる動きもあるし、純正カーボンに近いしなりもあり、約10~20gアイアンより重い適正なフローでウェッジの安定感が増すと思います。また、ウェッジ専用のカーボンシャフトを試せば、スピンなどさらに細かく調整できますね」
 
アイアンの軽いカーボンより、ウェッジが30g以上重いスチールだと、何がダメなのか。
 
「実は、重過ぎるウェッジシャフトを放置する方はかなり多く、90g以上のスチールだと振り感が整わない部分が出てきます。もちろん、打ち方や腕力など、その人のクセに合ってミスがなければ問題ないです。でも、フィッティングに来られる方は、少々ダフリ気味で打点がバラつき、タテ距離も左右もブレている方が多いですね。
 
ダフっても滑る人工マットの練習場では気づきづらいですが、私は天然芝の環境でフィッティングするため、この辺りは凄くシビアに見るポイント。30g以上差のある人は今より10gでも軽くなれば、アイアンのいい流れに沿って打点ズレが整う方がけっこういます。天然芝からのウェッジシャフトの試打を、ぜひ試してほしいですね」
 
ウェッジ専用カーボンシャフトを試すと、何が整うのか?
 
「実は、80g台前後のウェッジ専用カーボンの選択肢は豊富で、一例として、粘り系のアイアンシャフトが好きな方ならグラファイトデザイン『ラウネ』、クセのないしなりのUSTマミヤ『ATTAS SPIN』、手元と先の動きを最適化できるフジクラ『MCI SOLID / MILD』と、症状や好みで最適にスピンや打ち出しを合わせられます。

アイアンと重量フローを揃えるという単純な話しだけではなく、その人のミスの傾向に合わせて、症状を緩和するウェッジシャフトを探せます。最近のウェッジは重心距離が長いヘッドも増えつつあるので、ヘッドの振り感にも変化がありますし、自分に合うシャフトをなおさら試して欲しいですね。ウェッジはスコアの要ですから」
 
■解説/澤田嘉之
プロフィッター。4Plus Fitting Labo東宝調布スポーツパーク店で動作解析GEARSやTRACKMAN 4を駆使し、数百本のシャフトから個々人に最適な組み合わせを導き出す。静的なクラブデータと動的データを読み込むことからついたアダ名は“博士”

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