金持ちゴルファー or 貧乏ゴルファー 2極化するゴルファーの実像
昭和が終わり、バブル崩壊を経て日本は長い我慢の時代に突入しました。最もわかりやすい数字は、収入面ではないでしょうか。様々なデータもありますが、一般論としてよく言われているのは、昭和の終わりから平成の初め頃、大卒の平均的な初任給16万円という金額です。令和の現在では幾分かは上昇しているようですが、正直あまり変わっていないと言えるレベルです。企業や業種によっては、昇給もあまりないまま定年になっていく、という残酷な話も耳にします。
世界経済に目を向けてみると、上がったり下がったりしながら、30数年前と比較すると平均的な収入は1.5倍~2倍になっています。知らぬ間に、日本はアジアの中でも、安い労働力の国になり、安く買い物ができる国としても重宝がられる存在になりました。誤魔化しようがないぐらいに日本は貧乏になったのです。
令和のゴルフブームでも、未だに「ゴルフは富裕層の贅沢な遊びだ」というイメージで語る人もいますが、貧乏な国の貧乏人ゴルファーが増えただけで、金持ちゴルファーは増えても、減ってもいないのが現実です。
全てがマイナスなわけではありません。色々な評価がありますが、趣味で自分のお金でゴルフをするゴルファーにとって、現在の状況は、かなり良い環境なのです。過去にないほど多様になった中から自分に合うゴルフのスタイルを選べるからです。
金持ちゴルファーは、ごく少数なのであまり目立ちませんが、渋滞とは無縁のヘリコプターでゴルフに行ったり、金額的にも高額なコースでプレーしたりして、金持ちのゴルフを謳歌しています。つまり貧乏人ゴルファーとの接点があまりないため気づきにくいのかもしれません。
極端かもしれませんが、この国では、彼ら以外は、みんな貧乏人ゴルファーなのです。
バブルの時代、社用族は経費でゴルフをしていただけで、ゴルフをしている人たちの中身は、24時間働けることを良しとした猛烈サラリーマンだったわけです。今の常識では考えられないようなお金の使い方ができたのもこの時代。意味もなく、明日は今日よりもっと良くなる、とみんなが本当に思っていた。もしかすると、彼らのほうが現在よりも、もっともっと貧乏人ゴルファーだったのかもしれません。
若い人たちが、自分のお金のやりくりで、ゴルフを始めて、続けることができる令和のゴルフブームは、不幸中の幸いというか、解放されたパンドラの箱の中に最後に残った希望だと思えてなりません。
選択肢がたくさんあって、自分に合ったゴルフを選ぶことができる現在に拍手を贈りたいです。貧乏ゴルファーで良かった、と言える自由すら感じます。金持ちゴルファーでも、貧乏人ゴルファーでも、プレーするゴルフに変わりはありません。だとすれば、僕は自由な貧乏人ゴルファーで良かったです。貧乏ゴルファー万歳! なのです。
(取材/文・篠原嗣典)
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