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今季自己ベスト『63』で全米シニア首位発進! ショット不調の藤田寛之がチームの仲間から教わった“TPI”

今季不調だった藤田寛之が好発進(撮影:ALBA)

「全米シニアオープン」の初日、藤田寛之が7バーディ・ボギーなしの「63」をマークして首位タイで発進した。数字だけを切り取れば、フェアウェイキープ率が13/14で92.86%、パーオン率は16/18で88.89%とショットが好調だったように見える。

実は藤田は今年に入って、いやもっと言えばここ数年、ショットの不調に悩まされている。今年は国内シニアツアーでは3試合に出場して38位、43位、18位とトップ10がない。合計6ラウンドで60台は2回で、「すまいーだカップ」最終日の「68」が今季のベストスコア。5月に出場した「全米プロシニア」では4日間でアンダーパーが1度もなく、トータル4オーバー・51位タイに終わった。

「なかなか自分の思うようなっていうか、自分のイメージすら分からなくなっちゃうというのもある。まさに今がそう。逆球も出るし、ダフリも出るし、かなりちょっとひどいんですよ」。全米プロシニア翌週のすまいーだカップでは、そうコメントしていた。

「頭の中を整理してくれるのは師匠しかいない」。そのすまいーだカップ開幕前日の練習場では、約30年前から教わる芹澤信雄に指導を受ける藤田の姿があった。様子を見ていると、体の正面にクラブを持ち上げて、スクワットのような動作を繰り返す。「腰がクローズでしたね。股関節とか下半身のズレが結局スイング全体のズレにつながる。下からあおるというのがずっとあったので、それが原因だろうと言われました。だから練習場でもコースでも自分のセンターを確認していたんです」。

何をやったらいいか分からない状態から、芹澤のアドバイスで少し前進。しかし、すまいーだカップ初日は「72」、2日目は「74」とスコアを伸ばせず。今季初めての60台となる「68」が出たのは最終日のことだった。

そんな状態からさらに明るい兆しが見られたのは、2週前の国内シニアツアー「スターツシニア」。2日目に今季2度目の60台となる「69」をマークした。「チームセリザワの遠藤正人プロにアドバイスをもらったんです。遠藤プロは『TPI』の一番上の資格を持っていて、いろんなことを質問したら気持ち良く返ってきて、振りやすくなった」。

TPIとは「Titleist Performance Institute(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート」の略称で、体の可動域などいくつかの項目でスクリーニングして、人それぞれの身体能力に合わせたエクササイズやスイングを導き出していくプログラム。身体の観点から見れば、体の硬い人にいきなりローリー・マキロイ(北アイルランド)みたいに振らせるのは無理なのだ。遠藤は師匠の芹澤に言われていることをより理解するために、コロナ禍にTPIの資格を取得した。現在ではTPIの資格を持つティーチングプロは世界中にたくさんいる。

藤田は遠藤から教わった中身については「もうちょっと上手くいったら」と濁したものの、「いま考えたらフェースの開きを嫌がって力みがあった」と気付くことができた様子。そして「何をやっても開くというところから若干変わりつつあります」と、不振脱出の手応えを得て、今季最高の18位タイで大会を終えた。

その最終日、6月16日は藤田の55回目の誕生日だった。「難しい年齢ですよ。気持ちで乗り越えられる部分もあるけど体は正直だし…」。全米シニアオープンは残り3日。55歳初戦を復活の狼煙としたい。

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●「すまいーだカップ」でシニアツアー初優勝を挙げた片山晋呉。そのクラブセッティングを見てみると、ウッド3本、UT3本、アイアンは7番からと、やさしさを重視したクラブ構成だ。関連記事の【ウッド系6本にアイアンは7番から やさしさを追求する片山晋呉の14本は女子プロみたい!?】では、片山本人にクラブへのこだわりを聞いている。

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