ルーキー・寺岡沙弥香が「練習は趣味作戦」で7位発進 “笑撃”の自己操縦術とは?

23歳の誕生日を迎えたばかりの寺岡沙弥香が好スタート(撮影:米山聡明)

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇19日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(愛知県)◇6600ヤード・パー72>

ルーキーの寺岡沙弥香が新たな作戦を打ち出した。名付けて「練習は趣味作戦」。その心はメンタルコントロールで、これがズバリとはまった。5バーディ・1ボギーの「68」で7位タイ発進。トレードマークの笑顔も2倍増しだ。

「練習してきたことができないとイライラしていたけど、練習は好きでやっている。好きでやっていることで怒っていたらもったいない。練習は趣味なんだと考えて、クラブには趣味に付き合ってくれてありがとうという感じです。今週は伸ばし合いのコース。そういう気持ちが大事なんだと思ってやってみました」

フェアウェイからの2打目がグリーン右手前のバンカーの縁に止まった9番パー4のピンチも、このマインドで乗りきった。難しいライからの3打目をピンそばに寄せてパーセーブ。「以前はフェアウェイから打ったのに、『なんでそんなところに止まるん?』だったけど、きょうはまあ頑張ろうみたいなノリでいきました」。前半のアウトを2バーディ・ボギーなしで折り返した直後の10番はグリーン手前カラーから10メートルを沈めてバーディ。いい流れを断ち切ることなく確実にスコアを伸ばし続けた。

8月の「NEC軽井沢72」では「アホなふり作戦」を実行し、初の優勝争いを演じた。「ミスをしたときほどアホなふりをしよう。『なんでミスしたか分かりません』って自分の脳をだますんです。『なんか曲がっちゃった』みたいに」。メンタルコントロール術で2日目には首位に浮上。初Vは1打差で惜しくも逃したが、成長を実感した一週間だった。

前週の国内メジャー「ソニー日本女子プロ選手権」の最終日だった14日は23歳の誕生日だった。「その日は母と車で自宅に帰って、午後11時半ごろに着いて、ホッとしていたら日付が変わっていました。お祝いは何もしていないし、なんかぬるぬると終わってしまいました」。

寺岡は大阪・高槻市出身で、関西人特有のノリのよさも大きな魅力の一つ。いつものように爆笑を誘ったあとは、真顔に戻って「いい23歳にしたい。滑り出しはよかったので、明日からもオーバーパーを打たずにいきたいです」。メルセデス・ランキングは50位。この位置をキープできればシードが決まるが、ボーダーライン上は気が休まらない。目標はシード安泰と予想する500ptに到達する150ptの上積み。「早く稼ぎたいです。そうしたらもっと楽しくプレーができるかな」。

2日目以降も「練習は趣味作戦」を当然ながら継続。優勝の二文字も見据えながら、笑顔で“ポイ活”に励む。(文・臼杵孝志)