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比嘉一貴はメジャー3戦目で初の予選通過 崩れそうな終盤に目指した“先輩”の存在

比嘉一貴は粘りのゴルフで予選突破を決めた(撮影:GettyImages)

<全米プロゴルフ選手権 2日目◇19日◇オークヒルCC(米ニューヨーク州)◇7394ヤード・パー70>

「いやいや、またあしたあるんで」。メジャー自身3試合目にして初めての予選通過を決めた比嘉一貴だが、喜びの言葉は控えめだった。

欧州ツアーを軸に今季は世界を股にかけてプレーしているが、3月末の米国男子ツアー「バレロ・テキサス・オープン」から5試合連続予選落ちを喫して今大会を迎えていた。「調子がそこまで悪くないのに、予選落ちが続いてしまった。この状況を早く脱出したいと思っていた」。

昨年7月にセント・アンドリュースで行われた「全英オープン」、先月の「マスターズ」ではどちらも予選落ちで涙をのんだが、今大会が一番タフだとも感じていた。「その3つのなかでも、今回が一番予選通過が難しいかなと感じていた。自分の苦手、弱点が多いコースだった」と話すなか、そして最近の苦しいなかでの予選通過。「予選通過はゴールではないけど、とりあえず第一段階。ちょっと悪い流れを変えられるきっかけになるかな。経験は本当に少しずつ、自分の力になっていると思う」とまさに“3度目の正直”だった。

2オーバー・38位タイからスタートした第2ラウンドは、1番からティオフ。1バーディ・1ボギーで5ホールを消化。前日は6番から9番の4ホールで5打落とした“鬼門”に入ると1ボギーで乗り切った。とりわけ、9番はティショットを大きく左に曲げて3メートルのパーパットを残したが、「大きいミスをセーブできた。バーディに近いくらいの価値があった」と決めきりガッツパー。トータル5オーバーのカットラインに2打のリードといい流れをつくり、後半へと向かった。

10番をバーディとしたが、12番、13番でともにパーオンを逃して連続ボギー。トータル4オーバーに落としたが、ここでスイッチを入れる。「上にいる先輩を目指して」と、すでにトータル3オーバーでホールアウトしている松山英樹に追いつくことを目標にかえて、上を見続けた。

14番、15番とチャンスを決めきれず「(気持ちが)折れそうになりましたけど」と、カットラインの重圧は続いたが、難しいホールが続く上がり3ホールに集中。最終18番ではティショットをフェアウェイバンカーに入れてレイアップを強いられたが、「自分の中で“これなら間違いない”っていう距離まで持っていこうと、ちょっとギリギリだったけど、無理やり距離を出していった」と残り126ヤードまで運び、ボギーで切り抜けた。

2バーディ・5ボギーの「73」で回り、トータル5オーバー・59位タイで決勝ラウンド進出。だが、「予選を通った喜びはこの瞬間だけ」とすぐに気持ちを切り替える。

この日は午後から天気が崩れたが、あすはさらに荒れる予報。「きょう少し雨に降られたところでショットが乱れた。警戒して、きょうは少し早く休みたい。順位を上げられるように思い切ってプレーできたら」と、初めてメジャーの週末へと向かう。(文・笠井あかり)

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