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観客数制限がなくなった今こそ、ぜひ生観戦を!【原田香里のゴルフ未来会議】

プロ7年目・黄金世代の吉本ひかるが悲願の初優勝を果たした(撮影:鈴木祥)

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。申ジエさんがベテランの貫録を見せたダイキンオーキッドレディス。大混戦の末、吉本ひかるさんが優勝した明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメントと、開幕早々、JLPGAツアーは盛り上がりを見せています。

素晴らしいプレーを見せてくれている選手たちがその主役なのはまちがいありませんが、それをしっかりと支えてくださっているのが、ファンのみなさんです。特に、トーナメント会場で直接頂く拍手や声援は、みなさんが想像している以上に選手たちの励みになっています。

私の現役時代は現在のように帯同キャディが当たり前ではなく、コース所属のハウスキャディさんやアルバイトの学生キャディさんがついてくれることがほとんどでした。毎回、違う”相棒”でしたが、ロープの中で頼りになるのはキャディさんだけ、という状況は今と変わりません。

そんな中でギャラリーの方から声援や拍手を頂くと、味方が増えた気がしたものです。「一人で戦っているのではないんだな、こんなにも応援してもらえているんだ。頑張ろ! いいプレーをしてもっと拍手をもらいたい」と、思ったものです。

今は帯同キャディがいて当たり前のようになっていますが、それでもみなさんの声援や拍手は別物。それはそれは、気持ちのいい”贈り物“であり”ご褒美“なのです。

コロナ禍の中、中止が続いた試合を何とか復活させようと、まず、無観客での開催を行い、その後、感染対策として人数制限を行いながら、ギャラリーの方にいらしていただいていました。徐々にその人数が増え、今年は今のところ上限なしで大勢のお客様に試合を見ていただいています。

今年はまだ私も、直接現場で試合を見ていませんが、テレビ画面を通じてでもたくさんのお客さまが熱戦を応援してくださっている様子が、手に取るようにわかります。本当にありがたいことです。

ギャラリーのみなさんが、試合の大切な一部であることは言うまでもありませんが、コロナ禍によって、私を含めて、改めてそのありがたみを感じたプロゴルファーはたくさんいます。試合があることの大切さ、そしてみなさんに観ていただき、声援を送っていただくことが持っている大きな意味…。

子供の頃にプロの試合に足を運んで「こんな風にたくさんの人の前でプレーしてみたい」と、プロを目指したという若い選手も少なくないと聞きます。それほど、ギャラリーのみなさんの前でプレーすることは、プロゴルファー冥利に尽きることなのです。

スタート前やプレー中は緊張感が高く、集中もしているので、あまり愛想がよくないように見える選手がいるかもしれません。それでも「頑張って」というみなさんの声はしっかりと耳に入っていますし、それがエネルギーの源にもなっているのはまちがいありません。今年はぜひ、現場に足を運んで、直接、いいプレーには声援を送ってください。

試合を見るときには、椅子にもなる小さな脚立を持って行くことをお勧めします。その上で”推し”の選手がいる場合には、少しずつ先回りして観戦してみてください。ティショットが見たいなら、先にティイングエリアのいいポジションで待っている。パッティングが見たいなら、グリーンに先に行って待ち構えている。選手たちの歩くスピードは想像以上に速い上に、人気があればあるほど、一緒に動いていては見たいところで見られないからです。

ただ、ティイングエリアではキャディさんがどこに立つかがわかりません。いいポジションをキープしたつもりだったのに、打つときになってキャディさんが目の前に立って見えなかった、という残念なことにならないためには、飛球後方線上に陣取るのがいいでしょう。

また、通の方はご存じだと思いますが、練習場に腰を据えるのもゴルフ好きな方にはたまらないものです。選手によってさまざまな朝のスタート前チェックは、アマチュアゴルファーには参考になるし、その後の選手のプレーを見たときに「なるほど」と思えることもあります。

アプローチやバンカーの練習場が見やすい試合は、特におすすめです。アプローチのバリエーションや、ボールの落としどころ、バンカーショットでのクラブの入り方や音……。プロの技がぎゅっと詰まった練習光景は、トーナメントの醍醐味です。

気候もよくなり、お出かけには最高の季節になってきました。しばらく観戦から離れていた方も、トーナメント観戦未体験の方も、ぜひ一度お近くの試合に行ってみてください。ビックリするほど近くでプロたちのプレーが見られて”推し“が見つかるはずです。トーナメントは、観客のみなさんがいらして初めて、完全な形になるのです。

■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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