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終盤の“1オン成功”にギャラリー大興奮 笹生優花は最年少全米2勝目でパリ五輪代表入りに前進「自分にとって特別」

日本人史上初の海外女子メジャー2勝目を挙げた笹生優花(撮影:ALBA)

<全米女子オープン 最終日◇2日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70>

2021年に畑岡奈紗とのプレーオフを制して、初の全米女王になってから3年。笹生優花が、再び“世界一”の称号を手にした。2位との差も開いていたため、最終18番をパーであがると両手でこぶしを握る。そしてこちらも優勝を確信したギャラリーたちも大騒ぎし、グリーン脇ではその瞬間を待っていた西村優菜ら日本選手ともハグを交わした。

「すごくうれしいですし、感謝の気持ちでいっぱいです。すごくファンも多かったし、力になった」

日も暮れはじめたコースで、よろこびの心境を話す。3打差で迎えた最終日は前半ガマンを続けると、後半の4バーディで後続を突き放した。2022年大会覇者のミンジー・リー(オーストラリア)が「78」と大失速するなど、首位で迎えた選手たちが軒並みスコアを落とすような展開だったが、そこで強さを見せた。4日目の平均ストロークも『72.490』だったタフなコースでは、笹生も優勝を確信したのは「最終ホール。最後に決まってから」というほど。気が抜けない18ホールだった。

見せ場は後半の16番パー4。ここは、この日の実測が239ヤードで、1オンも狙えるセッティングが用意された。この時点で単独首位に立っていたが、アグレッシブな姿勢を貫く。3番ウッドを強振すると、力強いフェードボールがグリーンをとらえる。ティ周辺、そしてグリーンを取り囲んだギャラリーたちは大歓声でそのショットを称えた。そして楽々のバーディ。リードを広げることに成功した。だが、そんなビッグプレーを振り返るときも「ピンが前に出ていたし、レイアップは難しいので狙うしかない。いいショットを打ったんじゃないですかね」と、本人はいたって冷静だ。

全米女子オープンで2勝以上を挙げた選手は笹生で16人目だが、22歳11カ月13日での2勝達成となると史上最年少のできごとだ。ただ、これが通算でも2勝目。初のメジャー制覇以降、優勝から見放されてもいた。その3年間を振り返ると、「今年23歳ですからね…やばい。もう歳を取った。(3年が)早いのか遅いのかは分からないけど、いろいろな経験をしてきたし、これからもいろいろ経験できるのが楽しみです」と答える。

この勝利で、現在30位につける世界ランクの大幅アップも確実。これを基に算出される五輪ゴルフランキングで、原則各国上位2名に与えられるパリ五輪代表争いでも優位に立ちそうだ。前回の21年東京五輪はフィリピン代表として出場したが、今回は日の丸のウェアを目指す。「(代表決定まで)あと3試合あるので、しっかり集中して頑張りたい。フィリピンでも日本でも自分にとっては(五輪は)特別」。女子ゴルフの代表決定は、続くメジャー「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」終了後の6月24日。まだ気を引き締めてプレーを続ける必要がある。

ずっと帯同を続けてくれている父の正和さんとは、激戦を終えた18番グリーン上で今回も一緒に記念写真におさまった。ツアー生活を支えてくれる人たちへの、大きな恩返しにもなる勝利といえる。これで全米女子オープンは6戦2勝。20年と23年はそれぞれ13位、20位とトップ20入りを果たしており、好相性ぶりもうかがえる。2位だった渋野日向子との日本勢メジャー1、2フィニッシュも、男女ゴルフを通じて史上初のできごとだった。また多くの金字塔を打ち立てる勝利だった。(文・間宮輝憲)

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