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技術チェックしても変えられない! 流れが悪いときは仕切り直す【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】

イラスト・のり

ゴルフでは、他のスポーツ以上に流れが大切です。流れがいいときはそれほど苦労せずにスコアがまとまるのに、流れが悪くなると何もかもうまくいかなくなってしまう。どちらのパターンもスイングや技術に原因があってそうなるのではなく、大抵は自律神経の状態がそのままプレーに表れているものです。

例えば、ドライバーが250ヤード飛んだりパーオンしたりしなくても、3ホール、4ホー
ルとパープレーが続くことがあります。こういう流れのときは交感神経と副交感神経とが程よく働いているから、迷いもリキミもなくボールを打つことができるのです。
 
■自律神経が乱れると流れは悪い方向へ向かう
 
寄せようと思って打ったロングパットがコトンと入ったりするのは、まさにいい流れに乗っているときです。ところが自律神経のバランスが乱れると、思ったとおりにボールを打つことができず、流れは悪いほうへ向かいます。
 
ショットも当たらなくなりますが、特にパッティングのタッチがまったく合わなくなるのが特徴です。交感神経が優位になって過緊張が起こり、手元の感覚が狂うからです。絶好のバーディチャンスを逃し、返しのショートパットも外してボギーを打ってしまうのも悪い流れの典型でしょう。
 
こういうとき、アマチュアの多くの方は素振りをしたり、フェースの向きをチェックしたりする場合が多いようですが、先ほどお話ししたように、悪い流れをつくっているのは
自律神経の乱れですから、技術や気合やメンタルをチェックしてもパットが入るようにはなりません。
 
■仕切り直して「よし、合っているな!」と、安心することが大事
 
そこで自分なりの対処法が必要になります。私の場合、悪い流れにはまっていると感じたらパッティングのアドレスを仕切り直すようにしています。といっても、ルーティンから全部やり直すのではありません。
 
一度ラインに合わせて置いたパターヘッドをストローク直前に外し、ラインを再確認してもう一回ボールの後ろにセットし直すだけです。それまで思うように打てず何回も外しているときというのは、自信を失っているものです。最初のアドレスでは、「また外しそうだな」、「このラインでいいのかな」といった不安がまだあり、そのまま打つと無意識の
うちにラインを膨らませてしまいがちなのです。
 
それを防ぐためにもパターヘッドをセットし直して「よし、合っているな」と、ラインをもう一度確認して自分を安心させるわけです。
 
このように、ラインを再確認すると気持ちが落ち着いて、自律神経を立て直すきっかけをつかめます。信じたところへボールを打つだけで迷いがなくなるからです。もし外れても、自分の思ったところへ打ったのなら納得がいきますし、ボールの転がりによって自分がラインをどう錯覚していたかが分かり、修正もできます。
 
悪い流れを何とかして変えたいときは、これを思い出して実行してみてください。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
 
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。

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