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「こんなに早く勝てるとは…」シニア9試合目の増田伸洋が初優勝 12年前に亡くした父に感謝も

増田伸洋がうれしいシニアツアー初優勝(提供:PGA)

<すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント 最終日◇18日◇イーストウッドカントリークラブ(栃木県)◇6867ヤード・パー72>
 
2日目が中止となり36ホールの短縮競技となった大会は、1イーグル・6バーディ・3ボギーの「67」でトータル11アンダーまで伸ばした増田伸洋が逃げ切り、シニアツアー初優勝。今季シニアデビューし、9試合目での勝利に増田は「うれしいです。まさかこんなに早く勝てると思っていなかったので、本当にうれしいです」と喜びを語り、表彰式では応援に駆けつけた妻・聖子さんと、高校3年生の長女・沙姫(さき)さんも写真に収まった。

最終日の翌19日は2011年に66歳で亡くなった父・一仁(かずひと)さんの命日。「ダンロップフェニックスのときにちょうど亡くなって、こないだ13回忌をやりました。うちの親父とじいさんが練習場を作って、それがなかったら僕はゴルフをやることはなかった。ありがたく感じています」。
 
増田は小学生のときに母を亡くし、高校時代はラグビーに打ち込んだ。高校日本代表候補に選ばれ、6つの大学から誘いがあるほどの有望選手だったが、卒業後は千葉カントリークラブ・川間コースの研修生をしながら、父が営む千葉県柏市の練習場『双伸ゴルフセンター』で腕を磨いた。その7年後、25歳となった98年にプロ転向を果たし、33歳の2006年には「マンダムルシードよみうりオープン」でレギュラーツアー初優勝。練習場に「プロゴルファーがいないと」と始めたゴルフでも一流になった。
 
父が始めた練習場、『双伸ゴルフセンター』は増田が生まれた1973年にオープン。今夏に開催した50周年記念コンペには、宮里優作や永野竜太郎などレギュラーやシニアのプロたち30人が集まり、盛大に祝われた。実はレギュラーツアー通算12勝の宮本勝昌や同1勝の野上貴夫も、この練習場に通っていた時期がある。
 
「僕が18歳でゴルフを始めた頃に、同い年の宮本は大学生で、うちの練習場に4年間ずっといたんです。僕が研修生をしていたゴルフ場から戻ってくると、一緒に練習して、一緒にうちで飯を食っていましたね。練習場で球を打てばこっちは右のネット、向こうは真っすぐでしたけど」と笑いながら懐かしむ。そんな2人が今年、シニアツアーでともに初優勝を挙げたのは感慨深い。
 
その宮本は日本大学の1年生だった1991年に「日本アマ」を制しており、そのときの2位が日大4年の丸山茂樹、3位が同じく日大1年の片山晋呉だった。
 
また、来年の「日本シニアオープン」(2024年9月12~15日)は、増田が研修生をしていた千葉カントリークラブ・川間コースで行われる。「本当に出たくて、今年頑張ってきた。これで出られる」と、今回の優勝で出場を確実なものとした。増田がクラブを握ってから30年以上が経ったが、まさか研修生をしていたゴルフ場で開催される日本シニアオープンに自分が出るとは想像もしていなかっただろう。
 
今月16日に21歳になったばかりの長男・康輔さんも千葉県の平川カントリークラブで研修生をしながら、父と同じツアープロを目指している。そして次週の最終戦「いわさき白露シニアゴルフトーナメント」では康輔さんが増田のバッグを担ぐ。父の練習場から始まったゴルフの大きな環は、息子へとつながっていく。(文・下村耕平)

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