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26季連続の賞金シード獲得か、50歳からの夢か 片山晋呉に迫られる“決断”

好相性の御殿場で6位フィニッシュ。片山晋呉が26季連続シードに望みをつないだ(撮影:上山敬太)

<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇12日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
 
2023年シーズンも終盤戦を迎え、来季の賞金シード争いも佳境に入っている。来季のシード権は賞金ランキング65位までに付与されるが、「セガサミーカップ」で優勝したジェイブ・クルーガー(南アフリカ)と、日韓亜共催の「Shinhan Donghae Open」で優勝したコー・グンテク(韓国)は出場義務試合数不足で除外されるため、現時点では実質同67位までが“圏内”となる。

大会前の賞金ランキングは94位だった50歳の片山晋呉。大会2勝を挙げて得意とする御殿場の最終ホールで「1年の思い込めて打ちました」というバーディパットを沈めて、トータル5アンダー・6位タイでフィニッシュ。今季初のトップ10で賞金約663万円を獲得した。これで賞金ランキングで66位に浮上し、32季連続だった尾崎将司に次ぐ、26季連続の賞金シードが見えてきた。
 
「4日間終えて、やりきりましたよ。やりきったでしょ。計算しなきゃいけないねえ。こんなこと人生初ですよ」
 
片山はもともと、今大会でレギュラーツアーに区切りをつけ、今週は「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」、翌週は「いわさき白露シニア」と、シニアツアーのラスト2試合に出場予定だった。しかし、「いわさき」の裏で開催されるレギュラーツアーのシードが決まる最後の戦い、「カシオワールドオープン」に出場する選択肢が出てきたという。
 
「諦めていたからさ。気持ち良くシニアへ行こうって思っていたのがね。本当は必死にやらなきゃいけないのですよ、でもね」。
 
片山が迷うのは“50歳からの夢“を追いかけているから。現在シニアツアーの賞金ランキングで10位つける片山。シーズンを終えて4位以内に入れば、来年の海外シニアメジャー「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権。同10位以内の上位2名には「全英シニアオープン」の出場権が手に入る。片山はいま、これを最大目標としている。「すまいーだ」と「いわさき」に連勝してもシニアツアー賞金ランキングトップの宮本勝昌、同2位のプラヤド・マークセン(タイ)は抜くことはできないが、3位以内に入る可能性を残している。
 
「自分が50歳になって“世界一“になりたいって夢もあったから、そこにやっぱり行かなきゃいけない自分もいるしね。世界の一流とやるには早く行っておかないとやっぱりね。1年ってすごく、僕ら50歳にとってはデカいから」

片山はツアー通算25勝以上(31勝)の『永久シード』の資格を持つため、賞金シードを失ったとしても、来年以降もレギュラーツアーには出場できる。賞金シードのほうが永久シードよりも出場優先順位は高いが、『26季連続』という勲章的な意味合いが強い。現時点で、賞金ランキング66位は“圏内”ではあるが、シードを決める戦いは2試合を残しており、片山が出場しなければ下位の選手に抜かれる可能性が高い。しかし、「カシオ」で予選に通れば“26季連続”達成にかなり近づく。

「25年賞金シードも獲ったしね。それが26年になったところで何が変わるの?っていろんな人に言われる。(ジャンボ尾崎の)32年はどう考えても無理だし…」
 
26季連続の賞金シード獲得か、シニアで世界一に立つ夢か、片山は大きな決断を迫られている。「カシオでもう『はい、これです』って線を引かれたらさ、あきらめがつくじゃない?(シニア2試合を優先すると)2試合ゼロだもんね。今の感じだったら予選は通りそうだからね。そんな悩ましいところがありますけど、50歳になって、なんかこう興奮というか考えるというかドキドキというかね。そんなことがまだやれているのがやっぱいいよね、ゴルフって」。この日に答えはでなかったが、晴れやかな顔で片山はコースを去った。(文・神吉孝昌)

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